DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手(21=ENEOS)が“初タイトル”を獲得した。

2打席目までで2安打を放つと6回2死、三塁前にセーフティーバントを決めて、対外試合初の猛打賞をマーク。9回に5打席目に立って規定打席に到達した。打率4割3分4厘で新人では14年井上(ロッテ)以来、10年ぶり2人目のオープン戦首位打者を獲得。三浦監督も開幕1番を明言し、シーズンへこれ以上ない弾みをつけた。

   ◇   ◇   ◇

頭は冷静だった。度会が相手の守備位置を見渡した。6回2死、右足を上げずにバットを寝かせた。コツンと当てて三塁前へ絶妙なセーフティーバントを1球で決めた。「(相手の)ポジショニングと自分の足を照らし合わせた中で、やれるかなと思ったので挑戦しました」としてやったり。意表を突いた奇襲で首位打者を引き寄せた。

1回先頭ではフォークに体勢を崩されながらも、ちょこんとバットに乗せて左前に落とす師匠のイチロー氏ばりの“曲芸打ち”を披露した。3回先頭では中前打。対外試合初の猛打賞を記録し、練習試合を含めスタメン出場した試合では17試合連続安打とした。

9回先頭では空振り三振に倒れるも、ぴったり規定打席に到達。新人では10年ぶり2人目となるオープン戦首位打者に輝いた。「(首位打者は)気にしないようにしてました。シーズンは打席数が増えてもっと継続しなければいけないので(首位打者を)取れるように頑張ります」と誓った。

貪欲な姿勢が結果につながった。入寮前にはENEOSでともに自主トレする機会があったイチロー氏にグイグイ質問。「イチローさん、インスタやってますか? 」「毎日、カレー食べるんですか? 」。インスタグラムはやっていなかったようだが「度会くんが試合に出てたら見に行きたいよ」と大きな懐で受け入れてもらい、食事にも連れて行ってもらった。NPBで7度、MLBで2度首位打者を獲得した師匠の背中を追うように同じタイトルを獲得。試合中でも先輩たちに臆することなく相手投手の特徴を質問する貪欲な姿勢は変わらない。

三浦監督は試合後「度会は(開幕戦は)1番でいきます」と開幕戦での「1番度会」を明言。度会は「わくわくした気持ちで最高の状態で挑めるように準備したい」と気持ちを高ぶらせた。“ハマの一番星”が24年DeNA打線の先陣を切る。【小早川宗一郎】

▼ルーキー度会が打率4割3分4厘でオープン戦の首位打者となった。ドラフト制後(66年以降)に新人のオープン戦首位打者は14年井上(ロッテ)以来2人目で、規定打席に到達して打率4割以上も4割3分5厘の井上に次いで2人目だ。14年井上の公式戦は開幕で4番を務めたものの、最終的には36試合で打率2割1分1厘に終わった。同一年のオープン戦と公式戦の両方で首位打者は07年青木(ヤクルト)が最後で、イチロー(オリックス)は「ダブル首位打者」を95、98、00年の3度記録。公式戦で首位打者を獲得した新人はドラフト制以前を含めて過去にいないが、度会はどうなるか。

【直近10年のオープン戦首位打者】

14年=ロッテ井上晴哉 打率4割3分5厘

15年=西武秋山翔吾 打率4割5分9厘

16年=ロッテ鈴木大地、西武坂田遼 打率4割

17年=DeNAシリアコ 打率3割7分5厘

18年=楽天内田靖人 打率3割8分6厘

19年=DeNA楠本泰史 打率3割8分8厘

20年=阪神大山悠輔 打率3割7分8厘

21年=楽天島内宏明 打率4割

22年=ロッテ高部瑛斗 打率3割9分3厘

23年=ソフトバンク栗原陵矢 打率4割1分5厘

【関連記事】DeNAニュース一覧