西武ドラフト1位の武内夏暉投手(22)がプロ初登板し、7回無失点でプロ初勝利を挙げた。

試合後、母校の国学院大・鳥山泰隆監督(48)は「すごかったですね」と快投をたたえた。

大学最終学年でググッと伸びた。3年秋には大学野球の日本代表合宿に呼ばれていた。左腕が6人いた。鳥山監督は「松山での合宿が終わった段階では、武内は自分でも最終選考に入る感覚はなかったんじゃないかなと思いますね。私も、ひいき目なしに見て、一番下だったと思います」と振り返る。

監督だけでなく「下級生の頃は細くて手足が長いというイメージで、あまり球に圧もあまりない感じで」と証言するチームメートもいる。そこから一気に伸びた。「1人で自分に向き合って練習する時間が一気に増えて、そこから体つきもがらっと変わって」。

鳥山監督はそれを“やる気スイッチ”と表現する。「決して3年生まで手を抜いてるわけじゃないんです。でも自覚が芽生えるというか、それが学生野球の魅力でもあるというか。去年1年間、東都の4年生投手たちはスイッチの入り方がすごかった」。7人がドラフト1位指名される環境もうまく作用した。

3球団からのドラフト1位指名。そんな栄誉にも決して油断しない姿があった。鳥山監督は言う。

「武内はドラフトで指名していただいた直後から、ほとんど休まずに練習してきました。彼にとっての本当のスタートラインだったんでしょう。あの後、ほとんど地元の福岡にも帰っていないと思います。それだけの覚悟とすばらしい準備が、この成果につながっていると思います」

東都大学リーグは8日に開幕する。誇れる教え子に負けじと、戦国に万全の準備で立ち向かう構えだ。【金子真仁】