延長10回のピンチを切り抜けると大声援が降り注いだ。マウンドを降りる阪神石井大智投手(28)は少しも表情を変えなかった。「ゼロで抑えることができてよかったと思います」。試合後も淡々としていた。
4月5日から続く連続無失点記録は37試合まで伸びた。リーグ歴代2位タイに浮上。藤川監督が06年に樹立した38試合のリーグ記録についに王手をかけた。
1-1と追いつかれて突入した延長戦。いきなり先頭の長岡に右前打を浴びた。犠打で1死二塁とされてからが面目躍如。太田には直球を軸にして、最後も147キロで空振り三振。赤羽はカウント2-2から強く腕を振って、ワンバウンドのフォークを振らせた。「結果的に、投げ切れている球が少ない。ヒットという結果は仕方ないけど、しっかり投げ切らないといけない」と、意図しないボールの多さを反省した。
2日に岩崎が腰の疲労のために出場選手登録を抹消された。自然と、虎が誇るミスターゼロが「代役」を任された。今回のように、走者を出してもホームは踏ませない。実はこの6試合で5度、安打を許している。最も意識するのが「リスク管理」。年々、必勝リレーを担う機会が増える中で突き詰めてきた。「こういう役割を任せてもらっている以上、もう自分の調子どうこうではないですから」。捕手とともに最適の答えを探る。理想のフォームや抑え方は持っていても、結果の世界で生きる男には「0」こそが全てだ。
6月6日、頭部に打球が直撃。ショッキングな離脱だったが復帰後も変わらず仕事と向き合ってきた。心身においてタフな先輩・岩崎のすごみも感じるという。チームの勝敗を背負う、しびれるマウンドで自然とレベルアップも果たしている。大記録はもう目の前。背番号69のコールが響いた数だけ、勝利は手元に近づいていく。【柏原誠】



