日本野球機構(NPB)は22日、ドーピング違反の疑いがある行為を一部で報じられた中日吉見一起投手(25)に対し、東京都内で事情聴取を行った。吉見は疲労回復に効果のある「ニンニク注射」と呼ばれる点滴を受けていたとされ、本人もこの日の試合前に東京ドームで「球団の医務室でやってもらった。去年の夏ごろです」と投与の事実を認めていた。聴取に同席した中日の西脇紀人代表は「調子を整えるためにしたことで、本人が責められるべきところはない」と話し、正当な医療行為であると主張した。ただ投与された回数や時期については吉見も明確な記憶がないという。

 ニンニク注射の成分自体はビタミンの一種で禁止薬物ではないが、NPBが順守する世界反ドーピング機関(WADA)の規定では「静脈内注入は禁止される。ただし外科的処置の管理、救急医療または臨床的検査における使用は除く」とされている。特に点滴に関しては厳しく、五輪などでは脱水症状の段階でも禁じられているという。

 NPB医事委員会の増島篤委員長は「(判断は)カルテを取り寄せてから。医療行為でないニンニク注射がいけないことは基本方針。ただドクターの裁量にも幅がある」と説明した。23日にも診断記録を精査し、判断を下す。規定違反が認められない限り、吉見の試合出場は制限されない。

 [2009年10月23日9時29分

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