ソフトバンク王貞治球団会長(69)が、阪神入団を決めた城島健司捕手(33)にエールを送った。前夜(26日)、城島から阪神入りの決断を伝えられたという。「ホークスの一員として一緒に優勝を目指して戦ってほしかったですが、このような結果になり残念です。ただ彼自身が決めたことであり、異論はありませんし、日本のプロ野球をさらに魅力あるものにできる選手ですので、活躍を期待しています」と、球団を通じてコメント。24日に城島と会食し、熱意をアピールしたが、愛弟子の決断は日本球界のプラスになると受け止めた。

 交渉のテーブルに着くことすらできなかったソフトバンク竹内孝規COO(球団最高執行責任者)は「我々としては急いだつもりだったが、結果的にスピード感が足りなかった、と反省しています。王会長には率先してスピード感のなさをカバーしてくれようと体調も万全でない中(城島と)会ってくれたのに、報いることができず、力足らずを痛感しているところです」と視線を落とした。

 今回の争奪戦は、球団にしてみればFAで去られた選手を再び獲得に出向く異例のケースとなった。阪神が早々と獲得意思を表明する一方で、態度表明は4日遅れの24日。編成面では29歳の田上がチーム最多の26本塁打を放ち正捕手に定着したことで、手術明けの松中を含めた指名打者の起用法に絡んでくる。経営面ではマ軍と結んでいた3年2400万ドル(約21億6000万円)のうち残り2年分(約14億4000万円)を破棄した城島との契約が、フロントの判断を遅らせる一因にもなった。それでもソフトバンク本社が球団の今季35億円超だった選手年俸総額を、来季は40億円程度まで引き上げる方針を固めたのも事実。しかし王会長という「伝家の宝刀」(竹内COO)でも劣勢を覆せなかった。

 [2009年10月28日6時59分

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