退路を断て!

 中日落合博満監督(56)が二遊間コンバートに挑戦する荒木雅博内野手(32)と井端弘和内野手(34)に不退転の覚悟を求めた。1日、北谷球場で行われた恒例の記者会見で、2人のコンバートについて指揮官は宣言した。

 「そうなるでしょう。去年と最大の違いは3月26日(開幕)の時点で完成できなくても、こちらに元(の守備位置)に戻す選択肢はない。できなければ他の選手を使う。そのくらいの覚悟でやってほしい」。

 衝撃の発言だった。荒木、井端は昨年のキャンプでも二遊間コンバートに挑戦したが、井端は目の異常でキャンプを早々にリタイア。荒木も開幕直前に左足を痛めた。そこで落合監督は開幕直前に2人の守備位置を元に戻す決断を下した。だが、今年は失敗に終われば、それはレギュラーはく奪を意味する。

 遊撃から二塁に回る井端は落合監督の発言を聞いて覚悟を決めた。「そうですか。じゃあこのグラブ(遊撃用)はいらないんだ。片道切符ってことか」。二塁から遊撃に転向する荒木も初日から1時間以上もノックを受けた。「そういうつもりでやらせてもらう。だめだったら野球をやめるくらいの気持ち」。2人の迷いは完全に消えた。

 一昨年のオフ、2人のコンバートを思い立った落合監督は理由を「あいつらは少し横着を覚えた。このままでは終わってしまう」と語った。今年はあえて自分はノックバットを握らず、コーチに任せたが、その裏では絶対に2人の選手寿命を伸ばすという意志がある。落合野球の象徴とも言えるアラ・イバへの思いはそれほど深い。【鈴木忠平】

 [2010年2月2日10時55分

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