西武のドラフト1位ルーキー菊池雄星投手(18=花巻東)が4日、フォークを解禁した。「腕が上がらない」という疲労がピークの中、2日ぶりのブルペンで59球を投げた。捕手にサインを出してもらい、20球の変化球を交え、偵察に訪れた阪神スコアラーから「開幕ローテに入る力がある」と絶賛された。卒業試験で8日から4日間チームを離れることもあり、実戦登板は当初予定していた第3クールから第4クール(16日~)以降にずれ込みそうだ。

 キャンプも4日目に入り、体は限界だったが、雄星はブルペンで打者をイメージして投げ続けた。「肩ひじが張って、腕が上がらないくらいでした。(力の入れ具合は)2、3割程度。でも調子が悪い時にいかに投げるかなので。変化球中心でバッター10人を想定して投げました」。スライダー14球に初めて解禁したフォーク6球も交え、59球を投げ込んだ。球を受けた吉見、細川に初めてサインを出してもらうなど、ブルペンでの真剣勝負は熱を帯びた。

 やるからには勝つことを意識していた。空想の9人目の打者を迎え、カウント2-2の場面。11歳年上の吉見が出したサインに、4回首を振ってスライダーを投げた。プロに入りたてのルーキーが、先輩捕手を相手になかなかできない行動だが「腕が上がらなくて、真っすぐが投げられなかったんです」と苦笑い。あくまで本番の苦しい状況を想定して、その時のベストボールを選択した。

 2日ぶりのブルペン。本調子でなくても、偵察に訪れた阪神嶋田章弘スコアラーの視線を独り占めした。「全部がいい。腕の使い方が柔らかい。剛速球より投げ方がキレイだね。(一緒のブルペンで投げていた)涌井にも見劣りしなかった」と絶賛。ブルペンで投げる涌井、岸といったマークすべき主力投手には脇目もふらず、最速155キロルーキーを注視し「オープン戦にうまく入れれば、開幕ローテに入る力がある」と太鼓判を押した。

 評価が高まれば、求められるレベルも高くなる。細川からは「ストライクを取りにいくと左肩が下がる。フォームを一定にしろ」と言われ、渡辺監督からは「(疲れて)下がったままのひじだけでスライダーを投げるな。実戦を意識しすぎずに真っすぐを磨け」と指導された。本人も自覚している。「いろいろなアドバイスをもらうので取捨選択します。順調にきてるので、このまま最終クールまで行ければ」。考えて投げる18歳は、立ち止まることなく第1クールを終えた。【亀山泰宏】

 [2010年2月5日10時0分

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