オリックス岡田彰布監督(52)が20日、星野仙一氏(63)と新監督就任の交渉を控える楽天をけん制した。今季国内移籍が可能なフリーエージェント(FA)権を取得した後藤に対し、楽天が宣言時に備えて獲得調査をしていることに「ホンマやったらタンパリングや」と反応。3番セカンドの主将の流出ピンチに加え、ドラフトでは早大・大石達也投手(福岡大大濠)の指名でも競合必至。誕生間近と見られる「星野楽天」にメラメラと対抗心を燃やした。

 フェニックス・リーグ視察で宮崎滞在中の岡田監督が約1100キロ離れた仙台をにらんだ。後藤に強い関心を示す楽天の動きが気に入らない。「何で後藤の名前ばっかり(紙面に)出るんよ。ホンマやったらタンパリング(事前交渉)や、って怒らなアカン。新聞紙上で交渉してるのと一緒よ。今はウチんとこの選手やで」。新聞報道で明らかになったが、球界の情報通とあってすでに情報は耳に入っていた。「まだ(FA権の行使を)宣言するかも分からんし、その時期とちゃうのになあ」と敏感に反応した。

 19日、SD職にあった阪神を星野氏は正式に退団した。ともに人気球団阪神の監督を務め、岡田監督にとってはバトンを受け取った球界の先輩だ。意識しないはずがない。退団会見も携帯電話のサイトでチェック。知将と闘将の対決となれば、双方からどんな発言が飛び出るのかも含め、世間の注目度は高まる。パ・リーグ全体への影響についても「そら盛り上がるんちゃう」と、その存在感の大きさを認めた。ただ勝負事である以上、チーム編成、戦力を大きく左右するような後藤の流出は避ける必要がある。新監督を迎えるため補強にも積極的な楽天の動きに、クギを刺さずにはいられなかった。

 おまけに今ドラフトでも対決がありそうだ。オリックスは競合覚悟で早大・大石を1位指名する方針だが、そのライバル球団の1つが、楽天。岡田監督は「そら引くよ」と自らくじ引きに出馬する構えで楽天も交渉がまとまれば「星野監督」がくじを引く可能性があり、いきなり激突が見られるかもしれない。そのドラフト戦略について、この日は「あんまり(指名が)集まるようなら(他の候補で)一本釣りもあるよ」と発言。ニンマリしながら「情報に絶対はないからな」と続け他球団に向けてしっかりと煙幕を張った。

 もちろん一連の発言の根底にはオリックスだけでなく、球界を盛り上げたいという思いがある。岡田オリックスVS星野楽天。5位、6位に沈んだ両球団が来季、パの目玉対決になるかもしれない。【押谷謙爾】

 [2010年10月21日11時18分

 紙面から]ソーシャルブックマーク