<ソフトバンク10-1オリックス>◇10日◇福岡ヤフードーム

 主力野手の故障が相次ぐソフトバンクに新星が誕生した。4年目の中村晃外野手(21)が「8番左翼」で初スタメン。1点リードの2回1死二塁、プロ初安打となる左前打を放ち、初打点を記録した。二塁に進んで初盗塁となる三盗を成功させると、その直後に川崎宗則内野手(29)の一打で初得点。初の猛打賞と初ずくめの活躍で、15安打10得点の圧勝に貢献した。

 内川は右太もも裏痛でベンチスタート。松中は左手親指痛で登録抹消中。オーティズは左太ももの肉離れで戦線離脱した。そんな状況で、過去3年間は2軍暮らしだった男はチャンスを逃さなかった。抜てきした秋山幸二監督(49)は「言うことなし。バランスよく仕事をしてくれた」。21歳の活躍に目を細めた。

 チームメートが舌を巻くほどの練習の虫。その姿勢が認められ、昨年から主将小久保の米国自主トレに誘われた。期待は大きかったが、バットの振りすぎが原因で右手首を骨折した。1軍昇格はなし。4年目の今季、3月の阪神とのオープン戦で三振。その翌日、主将の小久保に呼ばれた。「もっと悔しさを表に出せ」。そんな説教が胸に響いた。今月3日、待望の1軍初昇格を果たした。

 ベンチではナインに「もっと喜べ」とはやし立てられたが「そういう顔なだけで、すごくうれしいです」。初のお立ち台で「出来すぎです。これからも結果を出せるように頑張りたい」と、初々しく笑った。