<ヤクルト6-6巨人>◇21日◇神宮

 原巨人が2年ぶりに1イニング3本塁打を放ちながらも、勝ちを逃した。ヤクルト戦で、1点を追う5回に実松の同点ソロ、坂本の勝ち越し10号2ラン、阿部の17号ソロでリードを3点に広げた。が、先発の沢村拓一投手(24)が5回4失点で早々に降板したことで主導権をがっちり握れず、中継ぎ陣がリードを守れなかった。両チームとも2ケタ安打の乱打戦は引き分け。中日も勝ったため、優勝マジック点灯は今日22日以降に持ち越しとなった。

 沢村が5回で試合から消えた。早すぎる降板が、鬼門・神宮での今季初勝利を逃した最大の要因だった。蒸し暑い上に勝てなかった。足取りの重くなる神宮三塁側ファウルゾーンで、自責の念を告げた。

 沢村

 ホームラン2本はスライダーです。今日はスライダーだけ、悪かった。6点も取ってもらって勝てないというのは、先発ピッチャーの責任です。ふがいないし、申し訳ないです。

 全面的な反省も無理はない。1点を追う5回、味方打線がこれ以上ない援護をしてくれた。先頭の実松が同点1号ソロ。原監督をして「実松が種火に火をつけてくれた」と驚かせた1発が起点になった。2死後、坂本が10号2ラン、阿部が17号ソロ!

 10年8月26日・中日戦以来となる1イニング3本塁打で、試合をひっくり返した。

 しかし、その直後が悪かった。2死走者なしからだ。代打・武内に直球を右越え本塁打された。さらに2連打でこの回2失点。3回にはミレッジに、4回には畠山に、ともにスライダーを本塁打された。1回3発の援護を、3イニング連続ソロで台無しにした。71球しか投げていなかったが、ベンチは交代を決断せざるを得なかった。

 不調のサインはテンポの悪さ。この日はその悪癖は出なかったが、ストライクゾーンで勝負し、力負けした格好だ。川口投手総合コーチは「バテが多少あった」と連戦の疲労を心配した。原監督は「先発が4点も取られては苦しい。リリーバーに少しプレッシャーをかけた」。救援陣の失点は、沢村の投球とリンクしていると指摘した。チームは勝てば優勝マジック点灯のチャンスだったが、3度目のチャレンジも失敗。それでも原監督は「引き分けたことは大きい」と前を向いた。今日、再びM点灯を狙う。【金子航】

 ▼巨人は昨年の11度を上回る今季12度目の引き分け。巨人がシーズン12度以上の引き分けは78年16度、82年14度に次いで30年ぶり3度目になる。今季、巨人にM点灯のチャンスがあったのは8月15日(条件巨人○=結果巨人●)16日(条件巨人○=結果巨人●)21日(条件巨人○か△、中日●=結果巨人△、中日○)の3度あったが、いずれも点灯に失敗している。今日の試合で巨人○、中日●ならば巨人にM31が出る。4度目の挑戦でM点灯なるか。