DeNAが今秋のドラフト会議で、桐光学園・松井裕樹投手(3年)を1位指名する方針を固めたことが21日、分かった。地元・神奈川出身という地域性もあるが、それ以上に先発投手としての実力を高く評価。手薄な先発陣に悩まされ続ける背景もあり、別格の存在として最上位指名を決定した。中畑清監督(59)も早くも熱烈なラブコールを送った。

 競合必至でも松井に対する評価は絶対的だった。高田GMは「うちは松井君しかいない。たとえ10球団来ようが、よその選手へいくわけにはいかない」と断言した。

 1位指名は当然の決断だった。2月のスカウト会議で即戦力の先発投手を上位指名することを決定。その時点から松井への評価は群を抜いていた。今春センバツへの出場は逃したが、練習試合へもスカウトを派遣。徹底マークを続けてきた。3月には1位指名する方針を固め、今月17日に行われたスカウト会議でも再確認。18日から行われた関東大会には高田GMが視察に訪れ、「制球もいいし変化球もいい。現時点でNO・1の投手」と太鼓判を押した。

 縁もある。松井は小学6年時に平松政次OB会長が監督を務める「ベイスターズジュニア」に所属していた。中学、高校も神奈川県内と地の利もある。だが、1位指名を決めた背景に地域性は関係ないという。高田GMは「神奈川というのもあるが、評価したのは実力」と強調した。

 中畑監督は、早くも指名→入団への青写真を描き始めている。福岡入りする前の新大阪駅で「松井はうちにぴったりの選手でしょ。救世主となってくれる星の下に生まれてるんだよな。地元からスーパースターになっていくストーリーが見える」と未来予想図を口にした。ドラフト会議での抽せんまでイメージ。昨年、3球団が競合した東浜のクジを引いた時は、箱の中ですべての紙を触ったが、今年は「最初に触ったやつだな」と、くじ引き対策まで飛び出した。

 巨人、阪神を始め、日本ハム、ヤクルトも1位指名の筆頭候補に挙げる逸材。松井はまだ進路を正式表明していないが、高田GMは最終結論を待つとした上で、「一番評価している選手にいくことは変わらない」とした。熱烈ラブコールは誠意の表れ。今後も密着マークを続けていく。

 ◆DeNAのドラフト1位競合抽選

 過去に4球団以上が1位で競合した抽選に9度参加し、すべて外している。12球団のうち、1位の4球団以上抽選で未勝利はDeNAと広島(0勝6敗)だけ。DeNAは3球団競合のケースでも1勝7敗と分が悪く、当たったのは84年竹田光訓(明大)だけで98年松坂大輔(横浜→西武)11年藤岡貴裕(東洋大→ロッテ)や12年東浜巨(亜大→ソフトバンク)を外した。