<ソフトバンク3-6日本ハム>◇3日◇ヤフオクドーム

 プロ野球記録に王手だ!

 日本ハム陽岱鋼外野手(26)が、3日ソフトバンク戦で4試合連続猛打賞となる4安打3打点をマーク。2回に一時逆転の2点適時打、6回には12号ソロを放ち、右前打で出塁した延長11回は決勝のホームを踏んだ。1試合3安打以上は今季両リーグ最多タイの14度目、4試合連続の猛打賞は00年小笠原(現巨人)の球団記録に並んだ。チームは5時間2分の激戦を制し、ついに3月29日開幕戦以来の貯金1とした。

 長い髪をなびかせ、白い歯を全開のウイニングランだった。陽岱鋼が、今季チーム最長の5時間2分の激闘にケリをつける快音を奏でた。延長11回、先頭打者として4安打目の右前打で出塁。1死一、三塁へとチャンスが広がり、中田の左前打で決勝のホームを踏んだ。3月29日の開幕戦以来の貯金1へ導く、3打点の奮闘。「つないで、つないでファイターズらしい野球ができた」。体現したヒーローは、余韻に浸った。

 価値ある節目になった。6回2死で中堅右へ飛び込む特大ソロ。一時リードを2点に広げる1発で、3安打目。偉大な背中に並んだ。リーグトップ今季14度目の猛打賞。4試合連続は、00年小笠原(現巨人)に並ぶ球団タイ記録を会心弾で飾った。拙攻の連続の中で1点を追う2回1死満塁では中前2点打。ここ4試合で計14安打とヒット・パレードは続く。「自分の記録は別にして、チームに勢いが出ていたらいい」と無欲のフォア・ザ・チームの思いがパワーの源だ。

 覚醒の予感を、第2の故郷でも見せつけた。福岡は台湾から野球留学し、福岡第一時代の3年間を過ごした地。丸刈りだったころと比べ、見た目は派手になっても心は一緒だ。プロ8年目になっても遠征時は時間が許す限り、当時の恩師へのあいさつに足を運ぶ。「あの時がなかったら、今の僕はない」。日本人チームメートとは違い、眠い目をこすって早朝から日本語を勉強。深夜までは、野球漬けの毎日を過ごした。原点の記憶が「今は楽しく野球をやっている」というプロで、勝負する土台の1つになっている。

 今日4日は、日本記録となる5試合連続猛打賞に挑む。「明日はノーヒット!

 ノーヒット!」とうそぶいた。パ王者の借金10からの驚異的な反攻劇の中心にいるが、これまで通り、平常心で快挙と向き合う。栗山監督が「(中田)翔と(陽)岱鋼のゲーム」と絶賛の嵐を受けた若きリードオフマン。決めぜりふの「サンキューで~す!」をかませるようなハッピーエンドを狙った先に、勲章が待つ。陽岱鋼が、球史に名前を刻みにいく。【高山通史】

 ▼陽岱鋼が6月29日西武戦から4試合連続の猛打賞。3安打以上の猛打賞は今季14度目となり、長谷川(ソフトバンク)と並び両リーグで最も多い。猛打賞を4試合以上続けたのは12年中島(西武)以来で、パ・リーグ6人目。日本ハムでは00年小笠原に並ぶ球団タイ記録となった。連続猛打賞のプロ野球記録は54年西沢(中日)と03年井口(ダイエー)の5試合で、今日のソフトバンク戦でプロ野球記録に挑戦する。