<DeNA0-10楽天>◇9日◇郡山

 楽天の新3番、後藤光尊内野手(35)が2安打3打点の活躍で、チームの連敗を4で止めた。7日中日戦(ナゴヤドーム)から3試合連続となる3番で先発出場。1回1死三塁で先制犠飛を決め、4回2死二、三塁から2点適時中前打を放った。ベテラン後藤が主軸に座って、打線も生きた。11安打10得点と、5月11日ロッテ戦以来の2桁得点。楽天打線が久々に打ちました~!

 「今日はチーム全体で、ファーストストライクへの意識があったので」。1回の先制犠飛を、ベテランはさらりと振り返った。1死三塁。カウント1-0からの外の直球を左へ上げた。「ヒットを打ちにいくなかで、最低限の仕事ができました」。DeNAは同様に1回1死三塁の好機をつくったが、グリエル、ブランコが凡退して無得点。同じ状況から、犠飛が打てるか打てないかは、大きな差だ。後藤の犠飛が、2桁得点への流れをつくった。

 3試合目の3番で、ついに打点をマーク。「AJにつなぐ打順ですから」と3番の重要性を話す。周囲も「状態は上がっている」と認めるからこその3番抜てき。3番について「今までいろんな打順をやってるので、特に変わることはないですよ」とクールを装うが、意気に感じていないわけがない。4回は、フルカウントから、しぶとくスライダーを中前に落とした。1球を見逃さない「すごみ」は、ベテランならではだ。

 オリックス時代は「3番後藤」が定位置だった。楽天も、手痛い打撃を食らったのは1度や2度ではない。ブラウン監督率いる10年の開幕シリーズのことだ。1点リードの9回に、福盛が後藤に右越え同点本塁打を浴び、その後に負けた。マー君の勝利を消す特大本塁打だった。その試合後、後藤は「3番はカギを握る打順なので、これからも積み重ねていきたい」と話している。

 昨年までの2年の不振を経て、故郷秋田に近い楽天に移籍。1月の入団会見では「東北の地で、もう1度輝きを取り戻せるように頑張っていきたい」と復活を誓った。この日は、ボウカーも7番左翼で先発し、3号2ランを含む3打点と活躍した。それでも、クリーンアップを務めた「3番後藤」の3打点の意味は大きい。チームの連敗を止めた、主軸の仕事だった。【金子航】