<オリックス4-3日本ハム>◇22日◇京セラドーム大阪

 日本ハム大谷翔平投手(20)が、「打」で勝負強さを発揮した。オリックス戦で2点を追う7回1死一、二塁の好機に代打で出場し、左中間を破る同点適時二塁打を放った。球宴で日本選手最速の162キロをマーク。疲労も考慮され後半戦は2試合連続代打での出場ながら、存在感を示した。チームは大谷の一打で一時は同点に追いついたが、8回に勝ち越され連敗し、勝率5割に戻った。

 怪物は、バットを持っても怪物だった。歴史を変えた162キロ剛速球から3日、恐ろしいまでの能力の高さを証明した。2点を追う7回1死一、二塁。大谷が左中間へ同点適時二塁打を放った。「追い込まれていたので、何とか食らいついていこうと思っていました。(代打の難しさは)あまり気にしないで(打席に)入りたいと思っています」。代打では今季9打数3安打、打率3割3分3厘。勝負強さを、見せつけた。

 ボールカウント2-2。直前の143キロ直球を振り遅れてファウルにしていた。「フォークを拾える準備をしながら待っていて、狙って(いたボールで)はなかったですけど」。落ちるボールに意識をおきながら、はじき返したのは4球目と同じ143キロの直球。裏を欠かれても、見事に対応した。「(ファウルも)ちょっと振り遅れたくらいで悪くはなかったので」。プロの打者でも難しい変化球待ちのストレート。だが大谷は涼しげに振り返った。

 投手だけではない。打者としての魅力も、誰もが感じている。日頃対戦している、パ・リーグの関係者ならなおさらだ。18日の球宴第1戦。序盤から劣勢に立たされた全パのロッテ伊東監督は試合中、翌日に登板を控えていた大谷をベンチ裏に呼んだ。「1打席ならいけるだろ」。コンディションを考慮し、第2戦の投手起用限定というのが日本ハムとの約束。それを破ってでも使いたくなった。スター選手たちがそろう夢舞台にあっても、「代打の切り札」は大谷しか考えられなかった。球団関係者を通じあらためてNGが出たため実現はしなかったが、打者でも一流であることが浮き彫りになるやりとりだった。

 だが結果には、結びつかない。8回に勝ち越され、チームは後半戦2連敗。勝率は5割に戻った。投打で存在感を示せば示すほど、「二刀流」のジレンマも大きくなる。【本間翼】