<DeNA5-4ヤクルト>◇9日◇横浜

 DeNA筒香嘉智内野手(22)が一振りでヤクルトを沈ませた。5回2死。2番手江村の117キロスライダーを右翼席中段へ運んだ。上半身の力を抜き打席に立つ。ギリギリまで力を入れない。インパクトの瞬間に我慢した力を全部、出しきった。「うまく変化球にも対応して、打つことができた。打った瞬間の感覚も良かったし、完璧でした」と納得の一打だった。初回には逆転の2点適時二塁打を放ち、3打点の活躍だ。

 今季得点圏打率は4割5分6厘で12球団トップ。プロ入りから昨季までの4年間で131安打、打率2割2分2厘の男が、ついに開花した。

 真面目な性格から、昨季までは指導されたことはすべて取り入れようとしてきた。そこから自分の打撃フォームを見失っていた。「良いと思ってやってきたけど。自分がどうしたらいいかわからない時期があった」と振り返る。今季はグリップの位置を頭の近くから、胸の位置まで下げている。自分を信じ、今のフォームを変えていない。「今は自分のスイングができているし、調子が悪くてもどこを直せば戻るかわかるようになった」と頼もしかった。

 「ハマのゴジラ」の活躍で、3位広島に4ゲーム差と迫った。2年前から7戦全敗だったイベント「YOKOHAMA

 STAR☆NIGHT」での初勝利にも貢献した。中畑監督は「(筒香の活躍が)1日おきなんだよな。1日(タイムリー)1本」とさらなる勝負強さを求めた。一皮むけた筒香がチームを初のクライマックスシリーズ(CS)へと導く。【細江純平】