<関西学生野球:京大3-0同大>◇第5週第1日◇5日◇甲子園

 今秋ドラフト候補の京大・田中英祐投手(4年=白陵)が甲子園初勝利を完封で飾った。阪神、巨人など6球団18人のスカウトが視察した同大戦で6安打6奪三振の力投。大学通算7勝目を2年ぶりの完封で飾った。京大が1季で3勝を挙げたのは00年秋以来14年ぶり。雨の中、最速145キロをマークした。

 1つ勝つたびに、大学と自分史を塗り替える。田中が甲子園で4季ぶり4度目の登板で、聖地初勝利を挙げた。京大の連敗を「60」で止めた12年春の関学大戦以来、自身2度目となる完封勝利。「なんとか自分の中にあるものを引き出しながら、抑えることができました」。1年春から投げ続けてきた経験、自信、誇りがあった。

 唯一白星のない同大戦は最後の難関だった。昨年9月26日、3点リードの9回に追いつかれ延長15回にサヨナラ負け。直前の立命大戦で21回を投げ抜き、同大戦も3時間半に及ぶ激闘を耐えた。それでも勝てなかった相手を、経験の少ない雨中の試合で組み伏せた。「とにかく集中しました」と出場選手中6人が甲子園組の同大を封じた。

 4打数1安打1三振の同大・篠川拓也主将(4年=明豊)は「あのカットボールにやられました。バットの芯を外されてゴロばかり。リーグのエースの中でも本当にいい投手。次は必ず攻略します」と話した。

 現役で入った京大では工学部に在籍し、工業基礎化学を専攻。学業と野球の両立が最も忙しかったときは、週3日は実験に打ち込みながらリーグ戦に備えてきた。

 歴代の京大投手陣の最多勝を今春開幕の5勝で更新し、さらに7勝まで伸ばしたが「ぼくらの目標は勝ち点を挙げること。それができなければ自分の投球への評価などできない」と言う。それでも阪神佐野アマスカウト統括、巨人山下スカウト部長、オリックス加藤編成部長ら編成トップを含む6球団が見守ったマウンドで、「ドラフト候補」はまたしても力量を証明した。【堀まどか】

 ◆田中英祐(たなか・えいすけ)1992年(平4)4月2日、兵庫県生まれ。米田西小4年から「塩市少年野球団」で野球を始め、三塁手、外野手、捕手。白陵中で投手に転向。白陵では1年秋からエース。2年夏に兵庫大会3回戦進出。京大では1年春から登板し、通算7勝23敗。昨秋ベストナイン。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。

 ◆関西学生野球リーグ

 関西大、関西学院大、京都大、近畿大、同志社大、立命館大の6大学が加盟。春、秋の年2回、勝ち点制による総当たり戦を行う。昨春は近大、昨秋は関学大が優勝した。入れ替えなしの1部制となった82年以降では、87年春からの6連覇など64季中35季を制した近大が最多優勝。近年は同大が10年春から4連覇を果たした。同大は大学日本一を決める全日本大学選手権でも、60年に準優勝。同野球部OBには元ヤクルト宮本慎也氏(日刊スポーツ評論家)、元阪神の片岡篤史氏、13年巨人ドラフト1位の小林誠司らがいる。