<北海道6大学野球:東農大北海道7-0北海道教大函館>◇第1節第1日◇30日◇網走呼人

 プロ注目右腕が快投を演じた。東農大北海道の風張蓮投手(4年=岩手・伊保内)が北海道教大函館との開幕戦で8回3安打、打者全員から毎回の17三振を奪い、0封勝利した。この日最速148キロの直球に変化球を織り交ぜ、大学自己最多の奪三振を記録。高校時代から注目されていた剛腕が、大学ラストシーズンの初戦で6球団10人のスカウトを見守るなか、躍動した。

 東農大北海道の風張が奪三振ショーを演じた。ネット裏に陣取った6球団10人のスカウトが見守るなか大学入学後、開幕投手として初めてマウンドに立ち、相手打線を圧倒した。最速148キロの直球にカーブ、フォークの変化球を交え、4者連続3度、打者全員から17三振を奪った。4四球を与えたが、許した安打は3本で三塁を踏ませぬ好投。「今日は変化球でストライクが取れたのが良かった。カーブが決まっていたと思う」と納得顔だった。

 自慢の直球に制球力が加わり、パワーアップした。この日は自己最速151キロに届かなかったが、際どいコースを突き、見逃し三振は4つ。巨人の山下スカウト部長は「本来のスピードが出ていなくても、あれだけ投げられる。球が低めに集まっていたのが良かった」と評価した。

 強豪との対戦で自信をつけた。8月中旬、東都6連覇中の亜大との道内での練習試合で先発。6回1安打無失点に抑えた。「自分の思ったところに投げられて、感覚をつかんだ」。夏場は体づくりで自分をいじめ抜いた。1日約15キロの走り込みで下半身を強化。さらに、多い日には約200球の投げ込みでコントロールの精度を上げ、その成果を実感して本番に臨んだ。

 追い続けた夢を自分の手でかなえる。高校時代からスカウトの注目を集めていたが、プロ志望届は出さず、さらなる成長を求めて網走の地にやって来た。今春、リーグ最終戦で黒星を喫し、4季連続のリーグ制覇を逃した。悔しさをバネに迎えた今秋。プロ入りをたぐり寄せるためにも、結果を出す必要がある。「大学最後のリーグ戦。全国で力を出したい」。チームの優勝を決め、満を持してプロ志望届を提出するつもりだ。【保坂果那】

 ◆風張蓮(かざはり・れん)1993年(平5)2月26日、岩手県九戸村生まれ。九戸長興寺小3年から「銀杏クラブ」で野球を始める。九戸中では2年夏からエース。伊保内では2年秋、岩手県大会1回戦の花巻南戦で17三振を奪い、注目を集めた。3年夏は県大会3回戦進出。甲子園出場経験なし。東農大北海道入学後は1年と3年の時、全日本大学野球選手権出場。家族は両親、兄、弟。185センチ、82キロ。右投げ右打ち。