<プロ野球ドラフト会議>◇23日

 虎のタイガだ!

 「東都の大砲」駒大・江越大賀外野手(4年=長崎海星)が満面の笑みで阪神の3位指名を喜んだ。23日は東都大学リーグの最終日と重なり、出場試合こそなかったものの、神宮での表彰式に臨んだ直後だった。チームの優勝、ベストナインの表彰を受け、さらに東京・世田谷区の母校に帰ると朗報が待ち受けていた。俊足、強肩も兼ね備えた外野手は記者会見に臨み「3割・30本・30盗塁」を誓った。

 東都大学を代表する右の大砲は、巨人ファンを公言していた。「長野さんが好きです。守りも、打撃もすごいですから」。そんな江越が、阪神の指名を聞くやカメラマンが持ち込んだトラのハチマキをつけ、タテジマのメガホンを持って満面の笑みを浮かべた。「やっぱり僕には縁があったんですかねえ」。自らの名は「大賀(たいが)」。指名球団はタイガースだった。

 記者会見では、目標の数字を口にした。「3割・30本・30盗塁が狙える選手になりたいです」。そういえるだけの高い身体能力の持ち主だ。50メートル5秒8、遠投は120メートルを超える。今季は全試合4番を任され、3割5分7厘、2本塁打(通算11本)の成績を残した。主砲として打線を引っ張り26季ぶり27回目となるリーグ優勝を決めた。つい2日前(21日)だった。

 江越はナインに胴上げされると、涙を流した。「何とか優勝して、いい報告がしたかったです」。リーグ戦中の9月だった。長崎に住む祖母アサ子さんが亡くなっていた。周囲がリーグを戦う江越に配慮し、入院も知らされていなかった。「帰ったら、優勝にもう1つ報告しないと」。

 会見に同席した西村亮監督(40)は、指名を喜ぶ教え子をやさしく見守った。「肩、足は十分やっていける。でも打者としては(打撃が)まだまだですから」と話した。パワーを秘めた打撃も成長すれば、これまでファンだった巨人との対決もあるはずだ。「伝統の一戦といわれています。注目される中でやれるなら、自分の持ち味を出して、ファンに応援してもらえる息の長い選手になりたい」。

 駒大に入学直後、いきなりバックスクリーンにたたき込み、周囲の度肝を抜いた。神宮で花開いた東都の大砲が、来季から甲子園に舞台を替えての大暴れを誓った。【米谷輝昭】<江越大賀(えごし・たいが)アラカルト>

 ◆生まれ

 1993年(平5)3月12日、長崎県南島原市。

 ◆球歴

 小学2年からソフトボールで始め、中学は軟式。長崎海星では投手兼外野手。3年夏は県大会決勝で敗退。高校通算26本。駒大では1年春から東都大学リーグにデビュー。3年春から4番。

 ◆趣味

 音楽鑑賞。主に洋楽。休みの日は「ひたすら寝る」。

 ◆タイプ

 右投げ右打ち。

 ◆サイズ

 182センチ、83キロ。