侍ジャパンの「令和の怪物」は、異次元投球で観客の度肝を抜いた。佐々木朗希投手(21=ロッテ)が壮行試合の「カーネクスト侍ジャパンシリーズ」中日戦に先発。自己最速を1キロ更新する165キロをマークするなど160キロ超の剛速球を連発し、3回53球、1安打3奪三振の無失点に抑えた。先発を予定するWBC1次ラウンドの11日チェコ戦(東京ドーム)に向けた最終登板で、さらなる進化を見せた。

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スタンドが騒然とした。うなりを上げる佐々木のストレートにファンの視線が奪われた。1回2死一、三塁、中日アキーノへの4球目。自己最速を1キロ更新し、大谷が持つ日本人最速記録に並ぶ165キロをマークした。球界屈指の捕手である甲斐ですら、捕球できずにボールはミットをはじいて前に転がった。コースはど真ん中。ベンチで見守った大谷も両肩を上げて苦笑いだった。

異次元の“160キロ祭”は令和の怪物史でも過去最速だった。直球36球のうち、160キロ台は約8割となる28球。平均は昨年5月20日ソフトバンク戦(ペイペイドーム)の161・1キロと並んで過去最速だった。3回53球、1安打3奪三振の無失点の圧巻投球で大谷が思わず拍手を送る場面も。それでも「内容はあまり良くなかったかなと。ボール自体は悪くなかったんですけど、小さなフォームの誤差が、ボールのばらつきを生んだかなと思ってます」と反省が口をついた。

前日3日の試合前には岩手出身の先輩・大谷と初対面。ともに柔らかい表情で肩をさすられながらコミュニケーションを取った。車で1時間半ほどの距離の地元出身スターに「テレビ通りの人でした。岩手の話をしました」と地元トークを展開。大谷が見守る中で大谷の165キロに並んだが「64だったり65、そこら辺はあまり変わらないと思う。今日は内容が良くなかったので、そっちの方がちょっと気になる」と関心事項には無かった。

圧倒的な投球内容でWBC本戦へも視界は良好。中6日で11日のチェコ戦での先発が有力となる。「勝つことがすごく大事だと思うので、内容よりも結果にこだわってやっていきたい」と勝利だけを追い求める。日本で最も速い球を投げる若武者の伝説は続く。次は世界を力でねじ伏せる。【小早川宗一郎】

○…壮行試合4試合目でチーム初本塁打も飛び出し、侍ジャパン史上初となるところだった同一球団への連敗を阻止した。栗山監督は「やっぱりホームランは欲しいよね。欲しいっす」と、おどけながら喜んだ。ただ、6回1死三塁で牧、村上が凡退し得点できず。指揮官は「必死になりすぎて、ああなるのが国際大会。だからこそ、ピッチャー中心に我慢」と気を引き締めた。試合後は壮行セレモニーで「世界一に向かって全員で戦っていきます」と満員のファンに誓った。

▽栗山監督 野球はスピード勝負じゃないけど、大会が進んで行くうちに、もっと上がってきそうな感じがする。もう1つ上の次元というか、あの潜在能力を全て勝ちにつなげる投球につながっていくと俺も信じている。

▽中日大島(初回、佐々木の162キロを三塁強襲内野安打) 速かったです。

侍ジャパン岡本和真V弾!佐々木朗希3回無失点、自己最速165キロ/ライブ詳細