師匠、最高です-。負ければ終わりのWBC準々決勝イタリア戦で、侍ジャパン岡本和真内野手(26)が5打点の大仕事をやってのけた。

3回の3ランに続き、5回にも右中間への2点適時二塁打で東京ドームのボルテージを最高潮に持っていった。ヒーローインタビューで「最高です」を連発したスラッガーは、素の自分で最高の仲間たちと喜び合った。東京での戦いを終えた侍ジャパンは17日未明、羽田からのチャーター機で最終決戦の地、米フロリダ州マイアミへ飛び立った。

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最高です。最高です。最高です。最高です。最高です! ヒーローインタビューに臨んだ岡本は5つの質問に5つ同じ言葉を返し、最後も真顔で「えー、もう、最高です!!」とテンションをぶち上げた。

泳ぎながらもかち上げた。3回2死一、二塁。舞い上がる打球に東京ドームの反応は早い。徐々に歓声は大きくなり、左翼席に落ちた時には104・2デシベルに。一気に4点差。ベンチでは最高の仲間たちが破顔して待ち構えていた。

智弁学園時代から日本代表経験はあるのに、どこかすっきりしない感情も確かにあった。「よそ行きになりやすいというか、かっこつけるというか。代表に行くとそうなりやすかった」。周りを気遣うあまりに、普段通りの岡本和真が出なかった。もう違う。大谷からはちょっかいをかけられて愛される。村上、佐々木、宮城ら後輩からは「師匠」と親しまれ、「あいつら、なめてるんですよ」と苦笑い。壁はなかった。

今大会への思いを行動で示した。宮崎での強化合宿は毎朝球場に一番乗り。チームバスより早く、決まった時間にタクシーを手配して準備に時間をかけた。チームスタッフも「岡本が一番練習していた」と証言。WBC期間中、深夜に思い立って自らの打撃フォームの映像を確認することも。野球が常に頭から離れない。ここ数日の打撃練習で感覚をつかみつつあった。

打率2割と苦しんだ1次ラウンドをぶち破るように、5回にも村上に続いての初球適時打。勢いに乗った場内の歓声も“最高”を更新する105・1デシベルでさく裂した。岡本らの待望の一打に栗山監督も「これでメジャーに向かっていくぞとなったと思う」とメラメラ。最高の勲章へ、太平洋を堂々と渡る。【小早川宗一郎、金子真仁】

▼岡本が5打点。WBCで日本人打者の1試合5打点は5人目の最多タイ。過去は06年1次リーグ・中国戦の西岡剛、13年2次ラウンド・オランダ戦の長野久義、17年2次ラウンド・オランダ戦の中田翔、今大会1次ラウンド・韓国戦の吉田正尚が記録している。

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