<練習試合:日本5-7カブス>◇15日(日本時間16日)◇米アリゾナ州メサ

 侍ジャパンの山本浩二監督(66)には、世界一の称号を勝ち取る道筋がくっきりと描けただろう。アリゾナでの調整を打ち上げるカブスとの練習試合はサヨナラ負け。だが、山本監督は気落ちすることなく収穫いっぱいの打線に言葉を弾ませた。「チームの状態は悪くない。打線はつながりがずっと出ている」。14日のジャイアンツとの練習試合に続き2ケタ安打。好ムードに乗って本番へ突入できる材料が、盛りだくさんだった。

 左腕攻略のヒントを探り、つかんだ。カブス先発は技巧派のサウスポーのウッド。長野を1番に据え、坂本と糸井の打順を入れ替えて5、6番を組んだ。坂本が先頭打者の2回に中前打で出塁し、中田の2ランを誘発。3回には左中間に坂本が2ランを放ち、理想の得点パターンが見えた。ジ軍戦では右投手用のオーダーで6得点。低迷した1次Rから個々の復調もあり、バリエーションが増えた。

 決勝Tでは、対戦相手の先発投手に応じて対応できる準備が完了した。山本監督は「右、左(投手)で打順が変わってくる。みんな(調子が)悪くないから」と構想を明かした。投手の左右によって5、6番を糸井と坂本の並びで工夫し得点力をアップする。指揮官は「ここを目標にきたから精いっぱい戦う」と宣言。戦略に知恵を絞りながら、中南米勢に対抗する手段を探るつもりだ。

 サプライズな一手が出る可能性も出てきた。長野がカ軍戦で1番起用も、5打数無安打に終わった。復調気配も、まだ不安を残す状態で、左腕用のリードオフマンに松田が候補に浮上。立浪打撃コーチが「バクチって言ったら言葉は悪いけれど、おもしろい」と示唆した。貧打にあえいでいた打線の奮起と、攻め手の増加。侍ジャパンに有終のゴールが、見えてきた。【高山通史】