2018年も残り1カ月弱。日本の格闘技界では、大みそかのRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で50戦全勝のボクシング元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)と33連勝中のキックボクシング界の「神童」那須川天心(TARGET/Cygames)によるエキシビションマッチが大きな話題となっている。

那須川に加え、元UFCファイターでRIZINバンタム級GP覇者堀口恭司(アメリカン・トップチーム)の強さも認知度を増し日本の総合格闘技(MMA)が再び盛り上がりをみせつつある。そして年が明けると、日本にはアジアの「黒船」が“襲来”する。その名もONEチャンピオンシップだ。

今年8月、都内のホテルでONEチャンピオンシップのチャトリ・シットヨートンCEOらが会見。来年から日本でイベント開催することを発表した。3月31日、10月11日、いずれも午後7時から東京・両国国技館。初上陸の2019年に、いきなり2大会が開かれる。同CEOは「日本には豊かな総合格闘技の文化と歴史があります。ONEチャンピオンシップは、その真の総合格闘技の体験をアジアの心の奥深くまでファンのみなさまにお届けしたいです。われわれの使命は志が高いです。総合格闘技界のスーパーヒーローを、情熱と希望にあふれたワールドクラスのアスリートを世界に解き放ちたいのです」と宣言した。

同団体にはDREAMの元ライト級王者青木真也、元バンタム級王者ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)が参戦し、ONEベルトを獲得。今年は11回というUFC最長防衛記録を保持する元UFCフライ級王者デミトリアス・ジョンソンや元UFCライト級王者エディ・アルバレス(ともに米国)と契約。先月にはDREAM、UFCで活躍した43歳の秋山成勲の参戦も発表された。

アジア経済の中心といわれるシンガポールが拠点なのもONEチャンピオンシップの強み。2年前、同国政府系投資会社から1000億円規模の資金が投入されたとの報道があった。既にFOXスポーツ・アジアで中継され、国内ではAbema TVと20大会以上の中継契約を結んだ。チャトリCEOによれば、世界136カ国で約17億人が視聴可能という状況にある。資金調達、大会中継ネットワークという「インフラ」もそろえつつ、日本に乗り込んでくる。

10月6日、タイで開催したONEチャンピオンシップ興行では総合格闘技、キックボクシング、そしてボクシング世界戦となるWBC世界スーパーフライ級王者シーサケット(タイ)の防衛戦を一緒に組み込んだ異色のイベントも実現させた。日本のプロボクシング関係者もアジア視察した際、総合格闘技の隆盛ぶりに驚いたという。日本格闘技界の関係者には脅威になるかもしれないが、ファンには刺激的なアジアの「黒船」。平成最後にやってくるONEチャンピオンシップの動きに注目している。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

ONEチャンピオンシップのチャトリCEO(右)とのツーショット写真をインスタに掲載した秋山成勲
ONEチャンピオンシップのチャトリCEO(右)とのツーショット写真をインスタに掲載した秋山成勲
ONEチャンピオンシップのロゴ
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