「ミスタープロレス」「ミスターNWA」と呼ばれた伝説的なレスラー、ハーリー・レイスさんが1日(日本時間2日)、肺がんによる合併症のために76歳で死去した。7月13日、イベント開催地のノックスビルへ移動中、体調を崩して入院。そのまま闘病生活を送っていた。亡くなる数日前に容体が悪化し、航空医療輸送の移動を余儀なくされた。その際の高額費用はWWEのビンス・マクマホン会長がすべて負担したという。

レイスさんの弟子の1人で、元WWE戦士のトレバー・マードックが4日(日本時間5日)、自らのフェイスブックを更新し、その事実を明かした。「ハーリーさんは、アトランタからセントルイスに移す必要があった。大きい体格のため、救急航空機が必要だった。WWEに連絡を入れると10分後、その費用が全額支払われていた。ハーリーさんはビンス・マクマホン会長に大事にされていた。ありがとう、ビンス。私たちにもう2日間、ハーリーさんと一緒に過ごす時間を与えてくれた」と感謝の言葉をつづった。

計8回のNWAヘビー級王座戴冠、そしてWWF(現WWE)時代、ハルク・ホーガンと何度もWWF王座を争った。アンドレ・ザ・ジャイアントとも対戦、共闘した。04年にWWE殿堂入り。何よりレイスさんが育てた選手も多くWWEと契約してきた。現在も在籍するトマソ・チャンパやカーティス・アクセルらはハーリー・レイス・レスリング・アカデミーの出身選手だ。選手として、指導者としてプロレス界に貢献してきたレイスさんは、WWEに愛されていた。この最大級のサポートが、その証明だろう。

また多くのファンの要望を受け、8月11日(日本時間12日)にはレイスさん主宰のプロレス団体WLW(ワールド・リーグ・レスリング)が一般公開による追悼式典をミズーリ州トロイのレイス・レスリング・アリーナで開催することを発表した。母国のプロレス界、ファンに長年愛され続けたレイスさんは、多くの人たちに見守られながら天国に旅立つことになる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)