WBC世界ライトフライ級の新王者となった“元ヤン”矢吹正道(29=緑)の祝勝会が17日に名古屋市内で行われた。現役続行を決めた矢吹の初防衛戦は来年2月か3月を想定。その上で英国の大手スポーツイベント会社「マッチルーム・スポーツ」から契約を持ちかけられていることを明かした。

同社はボクシングでは、WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(ワタナベ)と日本選手で初めて契約を結んだ。京口は今年3月、米国テキサス州ダラスで3度目の防衛戦に臨み、5回TKO勝ちで“海外デビュー”を飾っている。

国内と海外で、所属を変える。3階級制覇の“モンスター”井上尚弥(大橋)、WBA世界ミドル級王者・村田諒太(帝拳)も海外でのマッチメークに関しては、トップランク社と契約を結ぶ。そこには単純にファイトマネーを含めた条件面の比較になる。個人が命を張って戦うボクシング。かつてはジムに所属してのマッチメークが当たり前だった日本のボクシング界に新たな風が吹いている。

矢吹は一方で、国内からも多方面でオファーがきていることを明かした。今後の方向性についても金銭面が大きい。自ら建築関係の仕事を営んでいることもあり、「自分の仕事で数カ月で稼げる金額なら、どうなのか。自分は命を張る。家族がいる。そこは十分に考えたい」と語った。

海外プロモーターのオファーは、ファイトマネーで従来の倍以上というが、簡単に飛びつくわけにはいかない。伴うリスクも考え、今後の進むべき道を決める姿勢は50回以上の補導歴もある「元ヤンキー」の生きざまか。

矢吹はベルトを勝ち取り、間違いなく“旬”をつかんだ。ただボクサーの“旬”は限られる。その期間に何をつかみ取るか。「元ヤン王者」は、歩むべき道を探っている。【実藤健一】