人気ファイターの条件は何か。圧倒的な実績や、ひときわ目立つKO率…? もちろん、それらも重要な要素に違いないが、むしろ、リングを降りてからの振る舞いにこそ、秘訣(ひけつ)があるように思う。

特にツイッターやYouTubeなどのSNSで、個人がいつでもどこでも自身の思いを発信できる現代においては、それが顕著だ。キャラクターやルックスなどが、最も重要な要素の1つと言っても過言ではないだろう。

キックボクシングの「K-1」で活躍する現役高校生ファイター・大久保琉唯(17=K-1ジム・ウルフTEAM ASTER)も、その意味で次代の格闘技人気を担うファイターだ。「K-1甲子園2021-55kg王者」「第11回K-1アマチュア全日本大会チャレンジAクラス-55kg優勝」など、数々のアマチュアタイトルをひっさげて、今年2月にプロデビューを果たした。今年6月19日に行われたキックボクシングの世紀の一戦「THE MATCH2022」のオープニングマッチでは、“神童”那須川天心の弟・龍心に勝利し、一躍注目の的となった。元K-1王者の魔裟斗にも「まだ高校生だけど、3、4年後が楽しみ」と言わしめる実力の持ち主でもある。

だが、何より評判になったのは、その端正なルックスだった。SNSでは「かっこよすぎる」「超イケメン」などと称賛する声が並び、早くもその甘い容姿にKOされたファンが続出。さらに、今月14日からは、ABEMA TVでスタートした人気恋愛リアリティーショー「オオカミ」シリーズの最新作「オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない」に出演。競技とは違う顔も見られることで、ファンにとってはさらに身近な存在になる。話題は加速する一方だ。

RIZINの人気ファイター平本蓮も、K-1ファイター時代の17年に同番組に出演し、人気モデルとの交際などで、女子高生を中心に高い人気を獲得した。総合格闘技転向後も、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で独自のキャラクターを形成。未勝利にもかかわらずメインイベンターを任されるなど、実績以上にファンからの期待を集めている。

元サッカー日本代表FWカズの次男で総合格闘家の三浦孝太は、昨年12月にデビューしたばかりだが、今月19日にレジェンド、ブアカーオとのエキシビションマッチを実現させた。ファンがSNSにアップした動画が東南アジアで大ヒットし、タイやベトナムなどのファンが爆発的に急増したことが遠縁になったという。

もちろん実力あってこそのプロ格闘家に違いないが、人気はリング上のファイトだけでは語れない。「地位は人を作る」ではないが、中には、人気が実力を押し上げるというケースもあるだろう。彼らの今後に注目したい。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

鈴木博昭(右)にパンチを見舞う平本蓮(22年7月)
鈴木博昭(右)にパンチを見舞う平本蓮(22年7月)
会見を終え、キックを披露する三浦孝太(22年8月)
会見を終え、キックを披露する三浦孝太(22年8月)