総合格闘技RIZINバンタム級王者の堀口恭司(32=アメリカン・トップチーム)が年末に格闘技以外の「戦い」にも挑む。大みそかのRIZIN40大会(さいたまスーパーアリーナ)でUFC時代と同じ1階級下のウエートに挑戦。RIZIN VSベラトールの5対5「全面対抗戦」で、ベラトール代表として扇久保博正(35=パラエストラ松戸)とフライ級ワンマッチで激突する。そして同じ大みそか午後8時からはスカパー!やケーブルテレビで放送される専門チャンネル、釣りビジョンに登場。「釣真剣勝負!~格闘家・堀口恭司にとって釣りとは何か~」に出演し、その腕前を披露する。

ロケは今年9月、米フロリダ州の練習拠点に戻る前に秋の東京湾で収録している。「(番組の)レギュラー化しか狙っていない」と意欲満々で収録に取り組んだ堀口は「釣りも結果がすべてですから、相当、気合を入れていました。ロケした日はめちゃくちゃ海の気合が入って荒波でしたね」と振り返る。今回のターゲットは、体長1メートルにも達する今人気のサワラだったという。

幼少時代、生まれ育った群馬にある釣り堀に親子で足を運び、中学時代にバス釣りを開始したそうだ。作新学院高時代からルアーフィッシングのとりこになったと明かす。「あんなおもちゃみたいなルアーで絶対に釣れないと思っていたのに、魚がえさだと思って食ってくれる。これが格闘技に似ていると思った」。そこに筋金入りの釣り好き格闘家=堀口の原点がある。

格闘技と釣りは共通項ばかりだと言う。対戦相手の動画をチェックするように釣り動画で対策を練る。

「格闘技ならフェイントを入れてパンチ、攻撃を当てる駆け引き、そして釣りは魚に口を使わせる駆け引きがある。もしかしたら釣りしてなかったらベルトを取っていなかったかもしれない(笑い)。物事を考えてやらないと意味ないし、自分は本気で、魚と勝負している」

社会人になる前には趣味を仕事にしたいと真剣に考え、プロ釣り師も有力候補だったそうだ。堀口は「本当に自分は格闘技と釣りがすごく好き。ずっと仕事にしたいと思っていた。格闘家になるか、プロの釣り師になるかを考えたこともあった。食っていけないかなと思って格闘家になった」と当時の心境を口にする。今回の釣り番組は念願の夢がかなったと言える。

ルアーなど釣り道具は日本製を購入し、今回も渡米時には30~40個のルアーを持参した。釣り道具として活用するだけでなく、ルアーを部屋に飾ってインテリアとしても楽しんでいる。「住んでいるフロリダはブラックバスの中心地なので。そこに良いジム(現所属ジム)があると聞いて『よっしゃ』と思った。今は近所のところの丘に歩いていって釣りしている」。調整に影響ない程度に定期的に釣りしている。

大みそかは「体が万全ならやりたかった」というフライ級の試合、そして釣りの腕前をファンに披露することになる。RIZINの試合時間帯次第では、扇久保戦と釣り番組が重なる“同時ファイト”になるかもしれない。年末の堀口は2つの「顔」で“勝負”することになりそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

9月に東京湾で釣りのロケに臨んだRIZINバンタム級王者堀口恭司
9月に東京湾で釣りのロケに臨んだRIZINバンタム級王者堀口恭司