ミスタープロレス天龍源一郎(65)が、15日の両国国技館での興行で引退した。角界の注目度も高く、同じ二所ノ関部屋の後輩だった富士ケ根親方(50=元小結大善)は「嫁と子供が見に行きましたよ」という。

 天龍が力士として過ごしたのは64年からの約12年間。関取で27場所活躍し、西前頭筆頭まで出世しただけに、現在60歳前後の親方衆とも戦っている。元大関琴風の尾車親方(58)とは十両時代に2戦2勝。元千代の富士の九重親方(60)とは3勝1敗。関脇時代に1勝1敗だった北の湖理事長(62=元横綱)は、土俵を離れた後もリング上でファンを沸かせ続けた元戦友を「60何歳ですか。すごいですよ」とたたえた。

 相撲時代の天龍は、身長185センチながら体重は110キロ前後と細身で、突き押しが得意。1勝1敗だった元関脇出羽の花の出来山親方(64)は「上突っ張りで、回転が速かった」と振り返る。最多15度対戦した元小結大錦の山科親方(62)は、8勝7敗と勝ち越している。「古すぎるなあ」と言いつつ「オレはまわしを取らないと相撲にならなかったけど、突っ張られたイメージがあるよ」。プロレス界だけでなく、角界にも天龍の思い出はあふれていた。【木村有三】