プロボクシングのWBO世界ミニマム級王者高山勝成(仲里)が28日、33歳で高校の卒業式に臨んだ。14年4月に入学した愛知・菊華高(名古屋市守山区)を、280人の卒業生の一員として修了。ブレザーの制服を身にまとって「仰げば尊し」を歌い、「3年生の体育祭に出場して優勝したのが思い出。僕は“花形”の200メートルでベベ(最下位)でしたが…」と笑顔で振り返った。

 高校生活では2年時に「過去の(世界)チャンピオンで経験ないでしょう」と語る“事件”が発生。午前8時からの朝掃除をサボった結果「担任の先生に『放課後、教室のぞうきんがけ』と言われて、1人でやったことが思い出です」。1年時にクラスメートのケンカを2回止めたことなど、思い出は尽きない。

 拠点の大阪と名古屋を何往復もしながら、時には野球部の寮に寝泊まりして卒業にたどりついた。「僕は南アフリカとかメキシコにも行ったことがある。世界各国を渡り歩いていたら、大阪-名古屋間なんて“近所”です」。卒業式後にはクラスメートと記念写真を撮るなど、最後まで笑顔は絶えなかった。

 卒業試験では数学で赤点。2度の再試を受けながら、なんとかこの日を迎えた。卒業式では山岸鳴門校長が「高山くんは4団体で世界チャンピオンになった。私が始業式の時に言っていた『不撓(ふとう)不屈』の精神を突き進んだ結果だと思います」とあいさつ。10代の若者に交じった貴重な3年間になった。