新しい調整で貯金を-。プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24)が17日、弟で前東洋太平洋同級王者拓真(21)、いとこの日本スーパーライト級8位浩樹(24=いずれも大橋)と静岡・熱海で合宿に突入した。

 同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)との5月21日の5度目の防衛戦(有明コロシアム)へ向けた20日までの短期集中だが、試合の約1カ月前にボクシング技術ではなく、体を鍛えるキャンプを組むのは初の試み。室内での約2時間の体幹メニューを終えると、「合宿後の動きがすごく調子が良い。今回は良い状態で試合を迎えるためです」と説明した。合宿後、「体のパワー的なものがだんだん抜けていく感じ」がするという。通常は2カ月以上前が慣例の合宿を1カ月前にも入れ、「抜け」をなくす。いわば貯金で、「試合では目に見えて変わることはないかも」としながらも、楽しみなように微笑した。

 この日はあいにくの雨で取りやめとなったが、海岸の砂浜での瞬発系トレーニングなどにも励む。9月には米国進出のオファーも届いており、負けられないV5戦だが、「いろいろ試していこうかな」という意欲は変わることはない。しっかりと「預金残高」を増やして、試合で引き出すのみだ。【阿部健吾】