「スターになるための第1歩」。そう米国の舞台を描く。初渡米は昨年9月。この日会見で隣席した前WBC世界スーパーフライ級王者ゴンサレスの4階級制覇の瞬間を会場で目の当たりにした。「熱気と歓声、すべてが規格外だった。どれだけお客さんを楽しませるか」と、本場ファンの求めるものを肌で感じた。

 ロサンゼルス、ラスベガスなど西海岸が濃厚な興行では、セミファイナルに抜てきされた。ゴンサレスの世界戦がメインだが、注目度は際立つ。世界的プロモーターで帝拳ジムの本田会長は、西岡、三浦ら米国で世界戦をした選手を挙げ、「従来はこっちからチャンスを狙ってきたが、井上君は最初から期待されている。全然違う」と強調。井上の場合、試合を売り込んだのではなく、その強さ、試合ぶりが世界的に評価されて世界戦が実現した。

 所属ジムの大橋会長は「これが伝説の始まり」と予言した。中重量級が主流の米国で、風穴をあけたのはゴンサレスの躍進だった。スーパーフライ級トップ選手が集う大イベントで、その偉人の前に組まれた米デビュー戦。軽量級といえど、「伝説」になれる。「盛り上げてくれた、その波に乗っかっていきたい」。日本の「怪物」が世界の「モンスター」となる日が近づいてきた。【阿部健吾】