ボクシングのロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級1位村田諒太(31=帝拳)が世界の頂への高ぶりを見せた。17日、世界3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と元2階級王者サウル・アルバレス(メキシコ)との「ミドル級頂上決戦」を都内でテレビ観戦。引き分けを見届けると、「舞台は特別だが、実力は抜きんでているかというと、そうではないと思う」と述べ、「立ち止まってはいられない。彼らのステージに上りたい」と息巻いた。

 2万2358人の大観衆を集めた熱い「舞台」。ただ、覇権を争う2人を見る村田は冷静だった。「(2人と)世界ランカーとの差は縮まっている。僕らが上がっているのもあるけど、ゴロフキンがピークを過ぎている。魔法が解けている」と見切った。17戦連続KO防衛でミドル級に君臨した絶対王者は、決して手の届かない対象ではない。

 自身は10月22日にWBA王者エンダムとの再戦が控える。5月の王座決定戦に不可解判定で敗れた相手。「ステージ」へ進むには、必勝が求められる。「今はやりたいと言っても『お前は誰?』と言われる。ここで勝って、2、3試合戦って(強さを)証明しないといけない」と口元を引き締めた。【阿部健吾】