王者比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が1回KO撃破で、日本記録に並ぶ15連続KO勝利を飾った。元2階級制覇王者で挑戦者の同級9位モイセス・フエンテス(30=メキシコ)を左2発からの右ボディーストレートでダウンを奪取。1回2分32秒、KO勝ちで2度目の防衛に成功し、沖縄で日本人初の世界戦勝利を挙げた。同郷の元WBC世界スーパーライト級王者浜田剛史らの持つ日本記録に並び、新記録に王手をかけた。

 15連続KO勝利を挙げた比嘉のボクシング練習は週4回と多くない。代わりに筋力とフィジカルを強化する練習が他王者に比べても多い。都内のフィットネスジムに週2回通い、フライ級(50・8キロ)ながら減量中でも110キロのバーベルを上げる。55キロのバーベルを持ちながら、丸い板の裏に1つ木の足がつくバランスボードに乗って体を支える筋肉に刺激を与える。左右に振って腕力も鍛え、パンチ力に必要な体幹、広背筋、僧帽筋を強化する。

 さらに週2回、横浜市内の公園などで数種類の階段ダッシュを敢行し、下半身もいじめる。最長で253段ある階段を、多い時で30本走る。先月の徳之島合宿では約2週間、大学駅伝部の監督が舌を巻くほどのクロカン走を消化。比嘉は「自分だけでやったら戦績は1勝5敗ぐらい。野木さんがいないとダメです」。

 その野木丈司トレーナー(57)は比嘉のボクシングとフィジカルの練習を同時に受け持つ。過去に元WBC世界フライ級王者内藤大助を指導した。元プロボクサーながら千葉・佐倉高時代は陸上部に在籍。女子マラソン高橋尚子らを育てた小出義雄監督の薫陶を受けた同トレーナーのメニューで、オーバーワーク寸前まで追い込まれる。比嘉の生まれながらの頑丈な肉体、野木トレーナーの頭脳がマッチし、パーフェクトレコードは続いている。【藤中栄二】