挑戦者で同級1位の山中慎介(35=帝拳)が、因縁の元王者ルイス・ネリ(23)に2回TKOで敗れた。

 1回終盤にダウンを喫した。2回に立て続けにダウン、最後はネリの強烈な左右のパンチに戦意喪失し、レフェリーが止めた。あまりに早い決着に、試合後の顔もきれいなまま。山中は涙を流したまま、観客に手を合わせて謝りリングを降りた。

 昨年8月15日にV13を阻まれた。しかしネリにドーピング疑惑が持ち上がった。その世界戦後、7月27日にメキシコで検査した検体に禁止薬物ジルパテロールの陽性反応が発覚。家畜の成長促進剤で、ネリ側は牛肉に混入していたと主張した。WBCは過去の検査がすべて陰性で、意図的摂取の証拠もないとして、ベルト剥奪などの処分はなし。同時に、山中との再戦交渉に入るように命じた。今回の試合前の2月2、3日の検査では陰性だった。

 そして決まった再戦だったが、前日の軽量で前代未聞の体重超過。その場で王座剥奪となった。お互いに万全のコンディショで戦いたかった山中の心は引き裂かれた。思わず「ふざけるな!」と叫び、涙ぐんだ。許容できない失態だった。

 そんな因縁深まる一戦だったが、山中にとってはやり切れない敗戦となった。