戦う看護師が技能賞を獲得した。フライ級荒川竜平(29=中野サイトウ)は太田憲人(29=ワタナベ)との決勝に3回16秒TKO勝ちした。東京・大泉にある陽和病院で精神科に勤務しながら、2度目の挑戦で新人王に輝いた。

荒川は1、2回に「狙った」という右ストレートでダウンを奪った。相手はグラグラだったが「キャリアがまだまだで詰めがうまくない。欲を出さずに冷静にいこう」とラッシュはせず。それでも3回に再び左ストレートを打ち込むと、レフェリーが即座にストップ。相手陣営からもタオルが投入された。

昨年は決勝で1回TKO負けし、4月の再起戦で太田には2回TKO負けしていた。それが見事な快勝で2つの雪辱を果たし、斉藤会長は「一番地味な試合になると思っていた」と苦笑い。荒川も「判定で勝とうと思っていた」という。リング上でのインタビューでは「覚醒した」と叫んだ。

地元宮崎で高校卒業後に准看護師資格を取得すると上京して就職した。勤務しながら夜学に通い、2年前には正看護師になった。「これからは好きなことをやろう」と入門した。精神科に勤務するが「気持ちのコントロールとか通じるものがある」と両立効果を口にした。宮崎からの家族に、同僚の看護師や患者も応援に駆けつけた。「全日本もとりたい」と誓った。