初の3階級制覇王者で現スーパーフェザー級王者武尊(27)が「倒れない」現役ムエタイ王者を初KO撃破した。

日本VS世界・7対7のメインで、ムエタイの殿堂ラジャダムナンスタジアム・フェザー級王者ヨーキッサダー・ユッタチョンブリー(27=タイ)と59キロ契約3分3回で激突。2回に右ストレートでダウンを奪うと、立ち上がったムエタイ王者に右フック、左、右と追撃打。同回2分43秒、KO勝利を収め「王者対決」を制し「K-1最高であることは証明できた。K-1サイコー!」と絶叫した。

「人生の中でも大一番だと思って死ぬ気でやってきた」と振り返った。目の前にはキャリア最大の強敵。150戦のプロ戦績を誇り、プロアマを通じてKO負けはなしという現役ムエタイ王者だった。米合宿期間中にはムエタイ対策で総合格闘技などの他格闘技のテクニックを吸収し「ミックスして戦いたい。それを突き詰めてきた。そこから突破口を見つけて倒したい」と試合分析。鮮やかなKO劇で、過去1度も倒れたことのなかったバトルモンスターを沈めた。

10年前。高校生だった17歳の時、タイ修行に臨んだ。プロデビュー前に急きょ、ラジャダムナンスタジアムで試合出場する機会に恵まれながらも判定負けした。アマキャリア初の黒星はタイで味わっていた。「(ムエタイ王者は)雲の上の上の存在だった。あの時の、10年越しのリベンジ。ボクが負けるとK-1が負けることになるから」。試合前日も意気込み通り、雪辱も果たした。

同日には、武尊とともにキック界トップ選手として脚光を浴びる「神童」那須川天心もRISEワールドシリーズ世界トーナメント58キロ級1回戦に出場。フェデリコ・ローマ(33=アルゼンチン)を竜巻蹴りで2回KO勝ちした。負けじと1万6000人のファンの前で、メインを締めくくった武尊は「同日開催で他の格闘技をやっていて、すごい格闘技ブーム。昔のブームには届いていないかもしれないけれど、ブームは始まっている。K-1は最強、最高だと思っている。もっとK-1が1番ということを証明する相手もいると思う。実現するのは難しいかもしれないですが、ブームをブームで終わらせない」と力強く宣言していた。