シングルマザーのボクサーが世界初挑戦する。女子東洋太平洋&日本バンタム級王者吉田実代(31=EBISU K’s BOX)が、6月19日に千葉・幕張メッセでWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に出場。

WBOアジア太平洋フライ級王者ケージー・モートン(35=米国)との対戦が、22日に都内のジムで発表された。メインはWBO世界スーパーフライ級2位井岡一翔(30=Reason大貴)が4階級制覇に再挑戦する。

吉田は14戦目で念願の世界戦に「大きな舞台で背筋が伸びる。人生を変えたい」と意欲を見せた。20歳でキックボクシングを皮切りに、総合格闘技、シュート、ムエタイをこなした。25歳で「世界を目指したい」とボクシングに転向し、14年にプロデビューした。17年に高野人母美(協栄)との王座決定戦を制して初代日本王者となり、東洋太平洋王座も獲得など8連勝している。

妊娠して1度は引退を考えたが、出産半年後には長女実衣菜ちゃん(4)をジムに同伴して練習を再開した。保育園に送り迎えの間はインストラクターを務め、夜はジムで周囲が子守や弁当を食べさせる中で練習をこなしてきた。「娘が一番応援してくれ、理解してくれ、世界戦も喜んでいる」と話す。

24日に鹿児島へ里帰りし、壮行会やあいさつ回りする。その後は娘をしばらく実家に預け、普段はできない練習やスパーリング、体のケアなどもして、決戦に備えるつもりだ。

1階級下げての挑戦も「パンチ力、体のアドバンテージを生かせる適性階級」と歓迎。加山会長も「負けん気の強さとフィジカルは負けない」と期待。吉田は「自分のため、娘のため、支えてくれた人へ恩返しに世界王者になる」と誓った。