WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、IBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)を2回1分19秒TKOで下し、決勝進出を決めた。16年9月から8連続KO勝利。「モンスター」井上の連続KO劇を写真で振り返る。


井上尚弥とロドリゲスの比較表
井上尚弥とロドリゲスの比較表

◆2016年9月4日 ペッチバンボーン 10回3分3秒KO勝ち

王者井上尚弥(23=大橋)がアクシデントを乗り越え、意地のKO防衛を果たした。同級1位ペッチバンボーン・ゴーキャットジム(タイ)と3度目の防衛をかけて対戦。試合前からの腰痛と序盤の右拳の負傷で本来の攻撃力を出し切れなかったが、10回に一気の連打で仕留め、3分3秒KO勝ちした。3試合連続でランク1位の挑戦者を退けたが、本来のボクシングとは遠く「家に帰ったら(父真吾トレーナーから)お説教ですね。無駄なパンチをもらってしまった。リングにも上がってきてもらえないほどの出来。もっと練習するだけです」。

10回、ペッチバンボーン(右)の顔面に右ストレートを放つ井上(2016年9月4日撮影)
10回、ペッチバンボーン(右)の顔面に右ストレートを放つ井上(2016年9月4日撮影)
10回、ペッチバンボーン(右)からダウンを奪いKO勝ちを収める井上尚(2016年9月4日撮影)
10回、ペッチバンボーン(右)からダウンを奪いKO勝ちを収める井上尚(2016年9月4日撮影)
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ 井上尚弥対ペッチバンボーン・ゴーキャットジム 観戦した石川遼(左)、武井壮(右)と記念撮影するWBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(2016年9月4日撮影)
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ 井上尚弥対ペッチバンボーン・ゴーキャットジム 観戦した石川遼(左)、武井壮(右)と記念撮影するWBO世界スーパーフライ級王者の井上尚弥(2016年9月4日撮影)

◆2016年12月30日 河野公平 6回1分1秒TKO勝ち

WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が6回1分1秒、TKO勝ちで4度目の防衛に成功した。前WBA世界同級王者河野公平(36=ワタナベ)と対戦。6回に強烈なカウンターの左フックでダウンを奪うと、再開後に一気の連打。2度目のダウンを奪ったところでレフェリーが試合を止めた。初の日本人との防衛戦に完勝した井上は戦績を12戦全勝(10KO)とし、来年のビッグマッチ実現を期待した。作戦通りの完勝に「どこも痛めず、戦い抜けたのは自分にとって大きい」と満足感を漂わせた。

5回、河野(右)に強烈なパンチを見舞う井上尚(2016年12月30日撮影)
5回、河野(右)に強烈なパンチを見舞う井上尚(2016年12月30日撮影)
WBO世界スーパーフライ級選手権12回戦 井上尚弥対河野公平 6回、激しい打ち合いをする井上尚弥(左)と河野公平(2016年12月30日撮影)
WBO世界スーパーフライ級選手権12回戦 井上尚弥対河野公平 6回、激しい打ち合いをする井上尚弥(左)と河野公平(2016年12月30日撮影)
6回、井上尚の強烈なパンチを浴びダウンする河野(2016年12月30日撮影)
6回、井上尚の強烈なパンチを浴びダウンする河野(2016年12月30日撮影)
6回、河野(手前)をマットに沈める井上尚(2016年12月30日撮影)
6回、河野(手前)をマットに沈める井上尚(2016年12月30日撮影)

◆2017年5月21日 ロドリゲス 3回1分8秒KO勝ち

王者井上尚弥(24=大橋)が同級2位リカルド・ロドリゲス(27=米国)を3回1分8秒KOで下し、5度目の防衛に成功した。同会場で5つの世界タイトル戦が行われた2日間の最後に登場し、盤石のKO締め。途中、サウスポーの構えに変化する大胆さも見せ、9月に控える米国デビュー戦にも弾みをつけた。サウスポースタイルへの変化は「気持ちの余裕があって。相性的にも試してみようと」と理由を説明した。

3回、強烈な左フックでダウンを奪う井上(2017年5月21日撮影)
3回、強烈な左フックでダウンを奪う井上(2017年5月21日撮影)
3回、強烈なパンチでロドリゲス(右)からダウンを奪う井上(2017年5月21日撮影)
3回、強烈なパンチでロドリゲス(右)からダウンを奪う井上(2017年5月21日撮影)
3回、強烈なパンチでロドリゲス(後方)にTKO勝利しガッツポーズする井上(2017年5月21日撮影)
3回、強烈なパンチでロドリゲス(後方)にTKO勝利しガッツポーズする井上(2017年5月21日撮影)

◆2017年9月10日 ニエベス 6回終了KO勝ち

王者井上尚弥(24=大橋)が米デビュー戦をKOで飾り、6度目の防衛に成功した。挑戦者の同級7位アントニオ・ニエベス(米国)と米カリフォルニアで対戦。初回から攻撃的に出ると、ダウン経験のない相手から5回に左ボディーでダウンを奪取。6回に連打を浴びせると、同回終了時にニエベス陣営が棄権を申し出た。圧倒的な内容に、本場の関係者からも高い評価を受け、井上も米国リングへの継続参戦に意欲。戦績は14戦全勝(12KO)となった。鮮やかな米デビューに「日本と違う環境で調整し、勝てたことは成長につながる」と話した。

2回、ニエベス(左)に強烈なパンチをヒットさせる井上(2017年9月9日撮影)
2回、ニエベス(左)に強烈なパンチをヒットさせる井上(2017年9月9日撮影)
5回、ニエベス(右)に強烈なボディーブローを入れる井上(2017年9月9日撮影)
5回、ニエベス(右)に強烈なボディーブローを入れる井上(2017年9月9日撮影)
6回、ニエベス(右)に強烈なボディーブローを入れる井上(2017年9月9日撮影)
6回、ニエベス(右)に強烈なボディーブローを入れる井上(2017年9月9日撮影)

◆2017年12月30日 ボワイヨ 3回1分40秒TKO勝ち

 王者井上尚弥(24=大橋)が「モンスター」の愛称にふさわしい圧勝KO劇で7度目の防衛に成功した。挑戦者の同級6位ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)から左フックと左ボディーブロー連発で計4度のダウンを奪って3回1分40秒、レフェリーストップによるTKO勝ちをおさめた。既に同級で対戦相手が不在のため、18年から1階級上のバンタム級に上げ、世界3階級制覇を目指す意向を示した。「物足りなさ、というかもっとヒリヒリする、ピリピリする試合がしたい。次はバンタム級でそういうことがあるのかなと思う」。もらったパンチはゼロだった。

1回、強烈なパンチでボワイヨからダウンを奪う井上尚(2017年12月30日撮影)
1回、強烈なパンチでボワイヨからダウンを奪う井上尚(2017年12月30日撮影)
1回、ボワイヨ(左)にパンチを見舞う井上尚(2017年12月30日撮影)
1回、ボワイヨ(左)にパンチを見舞う井上尚(2017年12月30日撮影)
2回、ボワイヨ(左)にボディーを見舞う井上尚(2017年12月30日撮影)
2回、ボワイヨ(左)にボディーを見舞う井上尚(2017年12月30日撮影)
3回、ボワイヨ(後方)からこの回2回目のダウンを奪う井上尚(2017年12月30日撮影)
3回、ボワイヨ(後方)からこの回2回目のダウンを奪う井上尚(2017年12月30日撮影)


◆2018年5月25日 マクドネル 1回1分52秒TKO勝ち

モンスターが衝撃の112秒殺 !!  同級2位の前WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(25=大橋)が1回TKO勝ちで国内最速16戦目の3階級制覇を成し遂げた。王者ジェイミー・マクドネル(32=英国)を左フックと左ボディーでダウンを奪取。立ち上がった王者に13連打を浴びせ、1回1分52秒、レフェリーストップによるTKO勝利を飾った。。日米英で生中継という注目の一戦で衝撃のTKO勝ち。試合後は「みなさん、これがボクシングです。早すぎるというクレームはご勘弁ください。自分もビックリしています」と笑いを誘った。

2018年5月25日、WBA世界バンタム級タイトルマッチの1回、井上(左)は猛烈なラッシュでマクドネルを倒し新王者に
2018年5月25日、WBA世界バンタム級タイトルマッチの1回、井上(左)は猛烈なラッシュでマクドネルを倒し新王者に
1回、マクドネル(左)をコーナーに追い込み、猛攻を仕掛ける井上尚(2018年5月25日撮影)
1回、マクドネル(左)をコーナーに追い込み、猛攻を仕掛ける井上尚(2018年5月25日撮影)
1回、左ボディーでダウンを奪う井上尚(2018年5月25日撮影)
1回、左ボディーでダウンを奪う井上尚(2018年5月25日撮影)
3階級制覇を達成し、ベルトをファンに掲げる井上尚弥(2018年5月25日撮影)
3階級制覇を達成し、ベルトをファンに掲げる井上尚弥(2018年5月25日撮影)
3本指を立てポーズを決める井上尚(左から2人目)。左から母の美穂さん、1人おいて父の真吾トレーナー、弟の拓真(2018年5月25日撮影)
3本指を立てポーズを決める井上尚(左から2人目)。左から母の美穂さん、1人おいて父の真吾トレーナー、弟の拓真(2018年5月25日撮影)

◆2018年10月7日 パヤノ 1回1分10秒KO勝ち(WBSS1回戦)


記録ずくめの秒殺劇 !!  王者井上尚弥(25=大橋)が2試合連続の1回KO勝利で初防衛とワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)トーナメント1回戦突破を決めた。挑戦者となる元WBAスーパー王者で同級4位のフアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)に軽い左ジャブから強烈な右ストレートを顔面に打ち込んでキャンバスに沈めた。わずか1分10秒でのKO勝ちで日本人の世界戦最速タイムを更新。世界戦連続KO記録(7戦連続)、世界戦通算KO記録(11試合)という2つの日本新記録も樹立した。「かなり手応えがありました。一撃で決まったと」。無傷の笑顔で、5日に1歳の誕生日を迎えた長男明波君をリングで抱き上げた。初めて息子の名をトランクスに刻み「絶対負けられないとケツをひっぱたく思いで入れた」。

18年10月、WBAバンタム級タイトルマッチ1回戦でパヤノ(右)を攻めダウンを奪いそのままKO勝ちする井上尚(2018年10月7日撮影)
18年10月、WBAバンタム級タイトルマッチ1回戦でパヤノ(右)を攻めダウンを奪いそのままKO勝ちする井上尚(2018年10月7日撮影)
井上尚弥(18年撮影)
井上尚弥(18年撮影)
2018年10月7日、パヤノに1回KO勝ちした井上はガッツポーズ
2018年10月7日、パヤノに1回KO勝ちした井上はガッツポーズ

◆2019年5月18日 ロドリゲス 2回1分19秒TKO勝ち(WBSS準決勝)

WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が、IBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)を2回1分19秒TKOで下し、決勝進出を決めた。2回開始直後、左でロドリゲスをのけぞらせる。30秒すぎにカウンターの左ショートフックでダウンを奪うと。次は左右のボディーで2度目のダウン。立て続けのワンツーで3度目のダウン。たまらずレフェリーは試合をストップさせた。無敗同士の対決となった大一番で、あらためて井上がその勝負強さを発揮した。日本が誇る「モンスター」が、ボクシング発祥の地に初上陸し、欧州でも名をとどろかせた。

WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 1回、ロドリゲス(右)にパンチを見舞う井上(撮影・滝沢徹郎)
WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 1回、ロドリゲス(右)にパンチを見舞う井上(撮影・滝沢徹郎)
WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 2回、ロドリゲス(奥)からダウンを奪い拳を突き上げる井上(撮影・滝沢徹郎)
WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 2回、ロドリゲス(奥)からダウンを奪い拳を突き上げる井上(撮影・滝沢徹郎)
WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 2回、ロドリゲス(奥)からダウンを奪い拳を突き上げる井上(撮影・滝沢徹郎)
WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 2回、ロドリゲス(奥)からダウンを奪い拳を突き上げる井上(撮影・滝沢徹郎)