三迫ジム三迫仁志名誉会長の通夜が9日、東京・西五反田の桐ケ谷斎場でしめやかに営まれた。

元世界王者のファイティング原田、具志堅用高、輪島功一ら各氏に、多数のジム会長ら約300人が参列して故人をしのんだ。1日に入院先で肺炎のために85歳で亡くなった。

三迫氏は60年にジム開設後、世界王者を3人育てた。第1号の輪島氏は2度王座に返り咲いている。「はっきりものを言う人で、私の気持ち、性格を知っていた。いじめると反発すると。もっと頑張れと、奮い立たせてくれた。1度負けた相手に2度勝てた」と振り返った。

三迫氏は高校時代にプロ入りし、引退後はプロモーターとしての手腕を発揮した。「人生の裏も表も知って生きてきた。悔いないと思う」とも話した。

3人目の世界王者となった友利正氏は「親のように厳しく言ってくれた。チャンスをいっぱい作ってくれ、本当に感謝しかない」と頭を下げた。82年に世界王者となったが「勝てると思っていなかったのかも。初めて涙を流して喜んでくれた。一番の思い出」と当時を懐かしんだ。

14年には長男貴志会長代行に後を譲った。貴志会長は「父が興したジムを引き継いだ時に、世界王者を作るのが使命と思った。生きている間にもう1人世界王者を出したかった」と残念がった。現在はジムにとって最多の日本王者4人が在籍し、他にも有望選手は多い。「ボクシングを愛した生涯だった。意思を受け継いで、ボクシングの発展のために全力を尽くしたい」と誓った。