WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)が、同級1位久田哲也(34=ハラダ)を3-0の判定で下し、2度目の防衛を果たした。

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「自分がライトフライ級をけん引していくんだ」との心意気が、京口のファイトに乗り移っていた。ファイタータイプの久田に対し、足を使って動き、距離を取ってパンチを当てることも選択できた。だが、あえてしなかったのだろうと推察する。面白い試合をやろうと、序盤から距離を取らずに攻めていたのが印象的だった。

9回に奪ったダウンも、右アッパーからの右フックは、体幹が強くなければできない動きだった。最終12回にバックステップを使い、動きに緩急をつけながらKOのチャンスをうかがう姿勢にも、王者のさらなる成長を感じた。あえて課題を言うならばKOができなかったことぐらいだろう。

今回は京口のプロらしく打ち合う姿勢が、久田の持ち味も引き出したのだと思う。アッパーやカウンターの右には、王者攻略の研究の成果が出ていたし、この世界戦実現のために協力してくれた人たちの思いを、すべて背負っている戦いぶりだった。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋ジム会長)