ボクシングIBFスーパーバンタム級暫定王者となった岩佐亮佑(29=セレス)が9日、米ニューヨークから凱旋(がいせん)帰国した。

同級3位マーロン・タパレス(27=フィリピン)を11回TKOで、昨年8月の同正規王座陥落から1年3カ月で王座返り咲きとなった。「ラストチャンスと覚悟を決めて臨んだ。すごいステージで勝ち、心の底からうれしい」と満面の笑みだった。

米国で奪取は日本6人目で、KOとなると39年ぶり2人目となる。2月に米ロサンゼルスでの再起戦に勝利していたが「ニューヨークというのがうれしい。雰囲気ある会場で堂々と戦い、勝てた。人生で一番の収穫で、一番うれしい。前回がまぐれでなく、左が苦手でないことも証明できた」と胸を張った。

日本製バンデージは使用許可されず、巻くのも普段より約30分遅く、巻き方にもクレームをつけられた。小林会長は「試合直前までバタバタだった。イライラして。ボクの方が緊張した」と言う。岩佐は「全力を出そうと吹っ切れていた。一番落ち着いていた。冷静に戦えた」と精神面の成長を口にした。

3回にはバッティングながらダウンを先行した。「ダウンと思っていなかった。相手も疲れてきたのに、スタミナも気持ちも余裕あった。5回にはいろんな面が見えた。一皮むけた」と振り返った。11回の決着には「あのパンチだけガツンと感触があった。久しぶりにきれいに倒せ、いい印象を与えられた」と今後へもアピールを強調した。

正規王者はWBAとの2団体統一王者ダニエル・ローマン(29=米国)。左肩を痛めて9月の試合が来年1月に予定されているという。岩佐は「暫定でとりあえずの王者。正真正銘の王者に、統一しか見えていない」。統一戦を見据えて現地視察に行くつもりだ。小林会長は「返上とか、認定されるかとか、どうなるかは分からない。IBFの指令を待つ」と今後は未定だ。

17年の世界王座獲得時に、後援者からお祝いに高級外車フェラーリを贈られたが、陥落すると返却した。岩佐は現在は3台を所有するが普段は軽自動車に乗っているという。「正規王者になって、次は自分でフェラーリを買う。中古で」と新たな目標を定めた。