約2年半ぶりに世界王座に挑戦するボクシングの元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)が「被弾覚悟」で経験豊富な王者とのベテラン対決を制する構えをみせた。

23日、横浜アリーナでIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(37=南アフリカ)に挑戦する。10日には横浜市の所属ジムで練習公開し「顔は腫れると思います。どのみちパンチは食らうと思います。ただ顔面で戦うわけではない。被弾するのは勝ちへの布石で、そこから自分らしい動きができれば突破口がみえてくると思います」との覚悟を示した。

17年5月のIBF世界ライトフライ級王座から陥落したメリンド戦以来の世界戦で拳を交える王者は歴戦の雄と言っていい。08年にIBF世界フライ級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に敗れたものの、09年に空位の同級王座を獲得した後の挑戦者が後の世界王者ばかりだ。ゾラニ・テテ(南アフリカ)、ジョンリール・カシメロ(フィリピン)という新旧のWBO世界バンタム級王者もTKOで下して防衛に成功。所属ジムの大橋秀行会長は「ムザラネと八重樫、実力者同士の戦いになる。スパーリングをみても八重樫が勝つイメージが出てきた」と太鼓判を押した。

本来はスーパーフライ級で4階級制覇を目指していたが、大橋会長は「マッチメークもあるし、ムザラネに挑戦させることになった。この試合に勝ったら次はまた4階級制覇も。八重樫は終わるつもりないし、やる気があるかぎり限り、応えたいと思う」とムザラネ撃破後の青写真も口にした。八重樫は「会長が組んでくれた試合をやるだけ。4階級行くぞと言われたらやるだけ」と口元を引き締めた。未来に見据える4階級制覇も意識しながら、八重樫は国内最年長となる世界王座奪取を狙う。