ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(33=帝拳)が「機動力ボクシング」で初防衛成功を狙う。

23日に横浜アリーナで同級8位スティーブン・バトラー(24=カナダ)とのV1戦を控え、22日に都内で前日計量に出席し、200グラム少ない72・3キロでクリア。通常5週前には完了する下半身トレを3週前まで継続する異例トレを敢行。ハイレベルの“追い足”で攻め込む構えだ。

WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(27=BMB)、元3階級制覇王者八重樫東(36=大橋)も計量パスした。

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心穏やかに、村田は6度目となる世界戦の計量を終えた。KO率8割を誇るバトラーと約20秒間のにらみ合いをみせ「何も感じなかったですね。やってやろうという気になったわけでもない。調子良さそうと思ったわけでもない。ただ、あの場を過ごした。感情はなかった」と淡々と振り返った。不安はない。自信に裏打ちされたムードを漂わせた。

異例トレで持ち味となる好戦的なファイトスタイルを磨きあげた。スパーリングが佳境に入る5週前には打ち上げてきたフィジカルトレを「あえて今回は」(村田)3週前まで継続した。毎週1回ペースながらも、担当の中村正彦トレーナーのもと、ジムワークの前にエアロバイクをこぎ、下半身をいじめ抜いた。

中村氏によると、村田は1度、筋肉に刺激を入れるとすぐに高レベルの数値に回復する肉体を持つという。同氏は「終わったら倒れ込むような練習メニューですが、疲れも残らず、スパーリングの動きもすごく良かった」と明かす。持ち前の筋力をマックスに保つことでリング内では焦ることなく、心身ともに落ち着いた状態でファイトすることが可能。激しいボディーワークで圧力をかけ、接近戦を好まないバトラーを“追い足”で攻めるイメージが、ほぼ完成している。

「無理せず、着飾らずに、無理に笑顔を作る必要もないし、格好をつけることも虚勢を張ることもないし、そのままで勝負したいですね」。気負う必要はない。自然体のまま、ありのままを強調し「何回やっても(世界戦の)緊張感はあります」という雰囲気を楽しむようだった。20年に広がるWBAスーパー、WBCフランチャイズ王者アルバレス(メキシコ)やIBF王者ゴロフキン(カザフスタン)ら知名度の高い王者とのビッグマッチ実現には初防衛成功しかない。村田が1戦集中モードでリングに立つ。【藤中栄二】