新型コロナウイルス感染の収束が見えないまま、5月を迎えた。ボクシングは6月いっぱいまで興行の中止が決まり、ジムは休業中。出口が見えない闘いの中でボクサーはどうしているのか。4月に電話で取材した昨年度の全日本フェザー級新人王・前田稔輝(じんき、23=グリーンツダ)に改めて“今”を聞いた。(取材・構成=実藤健一)

-現状は

前田 自分の練習状況に関しては変わりなしです。人があまりいない時間に走って、公園で基礎トレーニングして。夕方にトレーナーの父(忠孝さん=44)を相手にミット打ちしてます。(グリーンツダ)ジムも完全休館となり、通っていた選手も通えない。周りもすべて自粛しているのが変化といえば変化です。

-メンタル的に厳しいか

前田 本音で言うと試合をしたい気持ちは強い。でも(状況は)みんな同じ。それを思うと踏ん張れるかな。試合の動画を見たりしていると、もどかしい気持ちになるけど、その日に向けてエナジーをためるという考えに切り替えてます。

-その思いを共有?

前田 (本石)会長とは連絡を取り合ってます。「どんな感じで練習している?」とか。励ましてくれるんで、気持ちは折れずにいられます。

-プライベートも自粛

前田 感染防止が第一。必要以外には出ないようにしてます。彼女はいますが、(在住が)ちょっと距離あるんで会えません。彼女は会社員で、今は在宅勤務。近況を報告したりして、励まし合っています。

-やはり感染が怖い

前田 万が一、(彼女との)どちらかがかかっても周りに迷惑をかける。自分だけは大丈夫だろうではなく、今はひとごとでなく怖い。最近、愛知県の(ボクシング)ジムで感染者があったので、これが自分のジムだと想像したらより怖くなった。自分だけは大丈夫とは絶対に言えない。

-今後は

前田 (緊急事態宣言期限の)ゴールデンウイーク明けにはジムワーク再開も思っていましたが、情勢を見ながら。何より感染は避けないといけない。苦しいけど頑張ります。

◆前田稔輝(まえだ・じんき)1996年(平8)9月25日、大阪府守口市生まれ。大商大堺から大商大へ。大商大2年時に日本拳法で日本一となる。プロの格闘家を目指して18年11月にグリーンツダジムに入り、19年4月のデビュー戦で1回TKO勝ち。同年の全日本フェザー級新人王を獲得。戦績は4勝(2KO)無敗。身長174センチの左ボクサーファイター。