青森北ボクシング部の佐藤楓汰(3年)は、1月の東北新人大会1部ライトフライ(LF)級で優勝し、全階級の中からMVPに選出された注目株だ。

中学まで野球少年だったが「個人競技に挑戦したい」と転身を決意。「ボクシングを通して自分に自信をつけたい」と上がったリングで才能を開花させている。

同じ青森北、同じLF級、同じジムで1学年上の岩渕大輔(東農大1年)は、昨年の国体少年男子準優勝など実績豊富。佐藤にとって最高の手本で「スパーリングしたり、全国区の先輩からいろいろ教わり、環境に恵まれていた」。長いリーチを生かし、相手を中に入れさせないアウトボクシングを磨いているが、それを勧めたのが岩渕だった。

そんな偉大な先輩と、昨年の県高校総体決勝で全国切符をかけた「同門対決」があり「他校の相手と戦うときは『負けたら嫌だ』とかあるけど、大輔さんで失うものは何もなく、どちらかというと気楽だった」。実力差を見せつけられTKO負けも「お互い遠慮がなかった」。すがすがしい気持ちでリングを降りた。

ボクシング経験1年足らずで県秋季選手権1年生の部優勝、東北新人大会2部優勝と着実に成長。今年は同大会1部を制したが、満足感は全くない。「ボクシングは先手を取った方が勝ちにつながる。受け身になることが多いし、自分からの攻めが足りない」。前へ前への姿勢を追求する。

新型コロナウイルスの影響で選抜大会、全国高校総体中止などで全国舞台は経験できず。来春は関東大学ボクシングリーグ戦に出場できる大学に進学予定。「周りのレベルが高いと思うが、負けずにリーグ戦に出られるように頑張りたい」と意気込む。「自信をつける」から「第一線」へ-。ボクシング人生は新たなラウンドに突入する。【山田愛斗】

◆佐藤楓汰(さとう・ふうた)2002年(平14)11月18日生まれ、青森市出身。小4から戸山中3年まで野球に打ち込んだ。青森北でボクシングを始め、チャンプスポーツボクシングクラブで練習。サウスポースタイルでカウンターが得意。参考にする選手は東京五輪フライ級代表内定の田中亮明とロンドン五輪バンタム級銅メダルの清水聡。趣味は釣り。家族は両親、妹、弟。170センチ。