世界最速16戦目での4階級制覇を狙うWBO世界スーパーフライ級1位の田中恒成(25=畑中)が、王者の2つの弱点を攻略する。大みそかの同級王者井岡一翔(31=Ambition)への挑戦に向けて18日、リモートで名古屋市内のジムから練習を公開した。

元世界王者の畑中清詞会長(53)は、前日17日に2年前の大みそかに井岡を2-1判定で下し、4階級制覇を成し遂げたドニー・ニエテス(38=フィリピン)から約1時間の“電話取材”で情報を入手したと明かした。その内容は「教えることはできません」としたが、田中は「(井岡には)2個弱点がある。具体的に? 2個です」と言った。

「弱点」の具体的な内容は明かさずも、イメージはできあがっている。「しっかり対策を練れてやれている。いろんなパターンを想定しながらやってます。今回は本当に自信あります。最後の1秒まで倒しにいきます」と力強い。

11月に約2週間、スパーリング修行で関東遠征を行った。“モンスター”井上尚弥の弟で、元WBC世界バンタム級暫定王者井上拓真(大橋)とも拳をまじえた。「世代交代をしたいと言っているタイミングで同世代とスパーして、あらためて俺らの世代は強いと実感できた。いい練習になりました」。技術的な吸収に加え、メンタル面でも大きな刺激を受けた。

「過去最高に順調です」。実績的に、日本選手同士の過去最高峰ともいえる決戦。新型コロナウイルスに苦しんだ20年最後に、田中が世代交代を遂げる。【実藤健一】

○…田中陣営は見えない敵「コロナ対策」も徹底してきた。畑中会長は、先月20日から田中以外のジム生の出入りを禁じ「恒成ジムにしました」。田中も父の斉トレーナーと自宅-ジムの往復だけ。換気や消毒などあらゆる対策を施した畑中会長は「ジムが一番、安全な場所です」と誇った。