WBC世界ライトフライ級王者寺地拳四朗(29=BMB)が、悪夢のトラブルを乗り越えて、あらためて「具志堅超え」を目指す。8度目防衛戦が8日、大阪市内で発表された。4月24日にエディオンアリーナ大阪で同級1位・久田哲也(36=ハラダ)と対戦する。

同カードは昨年12月19日に指名試合として予定されていた。しかし、寺地が昨年7月に泥酔して都内マンションで他人の車を傷つけていたことが発覚。日本ボクシングコミッション(JBC)より12月1日から3カ月のライセンス停止、制裁金300万円などの処分を受け、中止となった。その処分は先月末で解除。“再戦”が正式発表された。

寺地は「私事の事件のせいで久田選手、関係者のみなさまにご迷惑をかけて申し訳ございません」と謝罪。その上で「この試合を組んでいただき、ありがとうございます」と感謝した。寺地は7度目の防衛に成功した19年12月以来、1年4カ月ぶりの実戦となる。

「これだけ空くことはなかったので緊張はあるが、ワクワク感もある」

自粛期間中は、護国寺(東京・文京区)で社会奉仕活動に従事。「重要文化財の掃除、ラジオ体操など普段はできない経験をさせてもらった」。徳を重ねてボクサーとして復帰した。

新型コロナウイルスの影響が続く中、男子世界戦では国内初。複数階級制覇が主流も、寺地は「目標はぶれていない」「自分のボクシングを貫くだけ」。同じ階級で連続防衛回数にこだわり、V8戦に臨む。元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高氏の連続13回防衛超えへ、再スタートを切る。【実藤健一】