米プロレスWWEのロウ女子王者アスカ(39)が前歯負傷と脳振とうからの完全復活を宣言した。10、11日(日本時間11、12日)に米フロリダ州タンパで年間最大の祭典レッスルマニア37大会が開催。第2日となる11日にリア・リプリー(24)との防衛戦を控える。

2月22日のロウ大会でのタッグ戦でシェイナ・ベイズラー(40)に顔面を蹴られた際に前歯を破折。軽度の脳振とうの症状も見られたが、3週間ほどでリング復帰。カムバック後初の防衛戦を控えるアスカが日刊スポーツのインタビューに応じた。

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米セントピーターズバーグで開催された2月22日のロウ大会だった。シャーロット・フレアーと組み、WWE女子タッグ王者ナイア・ジャックス、ベイズラー組とノンタイトル戦に臨んだ際、マットに倒れたところで顔面にベイズラーの強烈キックを浴び、前歯が折れた。意識はあったものの、検査結果は重傷だった。

アスカ 脳振とうの検査があってチェックして、少しあると。(医療)スタッフと連絡を取りながらで。リングの上でどれぐらい動けるかのチェックもあって、ようやくクリアになって復帰できました。

米メディアには、リング復帰まで1カ月以上と報じられていたが、3週間後となる3月15日のロウ大会からカムバックした。しかし前歯の破折も深刻だった。

アスカ 結局、4カ所のクリニックに行きました。レントゲンを何回撮影したことか。1週間後に手術を受けて。全身麻酔で記憶もない大掛かりな手術でした。完治まで6カ月かかるそうです。治療費用も多分、ベンツのSクラスぐらい(約1500万円)かかると思います。試合の負傷なので私が払うことはないと思いますけれど(苦笑)。

WWEにも負傷欠場が少ない「鉄人」ぶりを認められている存在だけに長期離脱はアスカ自身も驚いたという。

アスカ 本当にビックリしました。(WWEの)プロデューサーたちも私を「タフ」と言ってくれるようなイメージだったので。だから選手、プロデューサー、スタッフから心配するメッセージが届きましたが、私の強みはタフさ。経験、技術面もリビング・レジェンド(生ける伝説)なんですけど、強みはタフというところなのです。

アスカの強靱(きょうじん)さを証明する米メディア調査の記録がある。WWEの歴代女子王座(ロウ女子、スマックダウン女子、NXT女子、NXT UK女子、ディーバス、WWE女子王座、WWE女子タッグ)の総戴冠日数が昨年12月8日に通算1000日間を突破した。

現役女子で首位を独走中で、歴代でも2位(歴代1位はファビュラス・ムーアの1万775日とされる)。2位フレアーの989日、3位ベイリーの951日を大きく上回る。昨年12月20日から今年1月31日までフレアーと女子タッグ王座も保持した2冠王者の時期もあるため、リプリー戦当日の総戴冠日数は1166日となる。

アスカ ちょっと米国行く前に想像した以上のことが起きている。信じられないですね。でも、いつも私はWWEのトップ、世界のトップだという気持ちで戦っています。

挑戦者のリプリーは身長171センチ、体重62キロの大型選手。身長160センチ、体重62キロのアスカにとって難敵なのは間違いない。

今回の相手は背が高くて、技術もある選手。経験は私の方がありますが、どんなに攻撃を受けても、私のタフさをみせたい。立ち向かっていく気持ち、プロレスで立ち向かっていくところを見てほしい。日常で嫌なことがあっても戦いを見て、生きるパワーにしてほしいです。レッスルマニアは4回目ですが、プロレスイベントの頂点ですし、レスラーのあこがれ。私にとっても特別な舞台。ロウ女子王者として防衛戦できるのは夢のようです。

顔面の大ダメージから復帰したアスカが、最大の祭典でタフネスな防衛成功をみせつける構えだ。

 

◆アスカ 1981年(昭56)9月26日、大阪市生まれ。本名・浦井佳奈子。04年6月、華名(かな)のリングネームでプロレスデビュー。AtoZで活動後、06年3月、慢性肝炎による体調不良で一時引退。07年9月に現役復帰。フリー選手として活動後、15年10月にNXTでWWEデビュー。連勝記録を続け、17年5月にはWWE史上最長記録となる174連勝に到達。同年10月にロウに昇格。昨年5月にロウ女子王座を獲得し、女子グランドスラム(ロウ、スマックダウン、NXT、女子タッグ)を成し遂げた。160センチ、62キロ。