4月28日に退院した元プロレスラー、天龍源一郎(71)が、退院後初めて公の場に姿を見せた。

つえをつきながら、ゆっくりと歩を進め、解説席に向かうと、隣に座っていた越中詩郎と並び、記念撮影に応じた。その後は「リラックスできて、見ているうちに楽しくなった」と、時折笑みを見せながら若手選手の試合を見守った。

試合後には選手に支えられながらリングに上がった。マイクを取り、ファンに向けて「40日間も入院していて、こんなぶざまな格好ですが、いつかはアントニオ猪木さんのように元気ですかー、と言いたいので、みなさん、もう少し我慢してください」とメッセージを届けた。全快でリングに上がることができず「不本意だった」と言いながらも、すべてをさらけ出したことで「吹っ切れた」と力強く言い放った。

天龍の復帰を選手たちも待ち望んでいた。第1試合で勝利した河野真幸は「リング下から見られていたので、緊張感があった。いつかは挑戦者に指名するので、頑張って復帰してください」とエールを送った。また藤波辰彌の息子、LEONAは「小さいころはよく見ていたけど、天龍さんの前でやるのは初めて。泥臭く行けと言われ、心に染みた」と愛のあるアドバイスに気を引き締めた。盟友である父も天龍復帰を自分のことのように喜んでいたという。

天龍は3月19日に動悸(どうき)、息切れなどの体調不良で入院した。その後の小橋建太とのトークバトルや、日本プロレス殿堂会設立1周年記念イベントも欠席していたが、順調に回復し、先月28日に退院。「長い入院生活でしたけど、ちょっとずつ調子を上げて、気候も良くなったことだし、元気いっぱいに無理せずやっていきます!」とリング復帰を心待ちにしていた。

この日、天龍プロジェクトは再始動後、初の有観客での試合を行った。今後も7月末までに5大会が決定。同団体代表で、天龍の娘でもある嶋田紋奈氏は「ご心配をおかけしましたが、病状は心配なく、ご覧の通り、元気いっぱい。これから天龍とともにどんな状況でも希望を持って進んでいきたい」と決意を見せた。慣れ親しんだリングに上がり「もう怖いものはない」という天龍。自分の居場所を再認識したレジェンドは、これからも歩みを止めずに進み続ける。【松熊洋介】