4月末にSKE48を卒業した松井珠理奈(24)が6日、さいたまスーパーアリーナで行われるプロレスの祭典「サイバーファイトフェスティバル」(プロレスリング・ノア、DDT、東京女子、ガンバレ☆プロレス合同興行)にゲスト出演する。松井が今大会の魅力や将来的な参戦の可能性など、プロレス愛を語り尽くした。

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プロレスのことを語り出したら止まらない。松井は、17年にドラマ「豆腐プロレス」出演でプロレスに興味を持った。「何度倒れても起き上がる姿に感銘を受けた」と引き込まれた。その後、ノアの武藤敬司、丸藤正道、望月成晃のイニシャル「M」で結成されたM’s alliance(エムズアライアンス)のメンバーとして活動を続けてきた。

祭典のメインを飾るのは、松井の“仲間”である武藤と丸藤のGHCヘビー級選手権。どちらを応援するか迷っている。

松井 見るたびに好きな選手が増えるので、誰を応援していいか分からなくなっている。武藤さんからは「いつも俺のことを応援してくれない。八方美人で浮気者だ」と言われるし、丸藤さんには副社長としてしっかり引っ張っていってもらいたいし…。

同学年であるノアの清宮海斗にも注目している。稲村愛輝と組んでDDTとの対抗戦に出場する。2月のタイトル戦で敗れて以来、調子の上がらない日が続いているのを心配する。

松井 入って間もない時に(GHCヘビー級)王者になって、チャンピオンロードを歩いて来た。自分を見つめる機会が少なかったと思う。ようやく落ち着いてきて、今後どうしていったらいいかとか、悩みが出てきたのかな。プロレスだけじゃなく、社会人でも私自身でもそういう時期はあると思う。6日までに乗り越えてくれるのか、もしくは試合で克服してくれるのかに注目しています。

普段見る機会の少ない女子選手の試合も楽しみにしている。5月4日にデビューした荒井優希には、アドバイスやエールを送ってきた。そばで努力を見てきただけに、大変さはよく分かる。

松井 試合前日は「うまくできるか、技がちゃんと決まるか」と泣きながら電話してきた。でもいろんな選手のデビュー戦を見ていて、最初から完璧にうまくできる人、最初から勝てる人はなかなかいない。

松井の言葉に勇気づけられた荒井。試合後の電話では「気が楽になりました」とホッとした様子だったという。ただ、試合を映像で見た松井は、緊張しすぎてまだまだ本当の荒井ではなく、求めているのはアイドルの時と同じ、まさかの「ヒール」役だった。

松井 SKEだったら毒舌なタイプなのに、プロレスではまじめ。もっとはじけてもいい。ヒールになって(今大会で対戦する)伊藤選手に上から物を言うくらいになって欲しい。みんなに好かれるヒールだと思うので、やってみてもいいかなと。

デビュー戦は無観客で観戦できなかったが、6日は近くで応援できる。

松井 セコンド? 付けたらいいですね。でも目立っちゃうのはまずい。「いらねぇよ」って蹴飛ばされるかも(笑)。でもそれくらいの気持ちで応援する。

SKEの中にも荒井のようにプロレスに興味を持つアイドルが増えているという。実際、18年2月に豆腐プロレスの第2回興行が名古屋で行われた際には、出場希望者が多く、オーディションを行ったほど。新たなジャンルに挑戦するきっかけを作った荒井はその後、仕事も増え、充実した日々を送る。

松井 自分の好きなこと、得意なことを伸ばしていけば、注目してもらえることが分かったのでは。みんながそういう未来を開けるようになったので優希ちゃんには感謝している。

「将来の結婚相手にプロレスラーはどうか?」と訪ねてみたところ、笑顔を見せながら答えた。

松井 プロレスを含め、スポーツ選手は格好いい。戦う男。私たちも総選挙とか大人数の中でどうやって個性を出すか戦ってきたんですよ。だからそのつらさを分かってくれる人がいいなと。戦ってきたプレッシャーや責任感を分かってくれて、包み込んでくれる人がいい。私たちもアスリート的な感じだったので、そういう人だったらいいなと思うし、支えてあげたい。

真剣な表情で話す内容は、解説者と変わらないほどに詳しい。プロレスの魅力について「ストーリーを見ていくと面白い」と話す。

松井 最初の入りは見た目でもいいが、それぞれに違うストーリーがある。タッグを組んでいたのに、1回別れてまた組んだりとか。だからこの2人が対戦する意味があるのか、とか。

松井自身、選手としてリングに上がることについては「応援することが好きなので。リングをバンバンたたいて選手をあおったりしてみたい」と話すにとどめたが、ファンや選手仲間から「出て欲しい」という声が多く、将来の参戦の可能性も示唆。「どんどん増えていけば(参戦も)あるかもしれない。その時はしっかりトレーニングしないと」と胸の内を明かした。いずれは荒井との対決も実現するかもしれない。

松井 武藤さんから「M'sの興行でやるか」と言われている。優希ちゃんが(ノアの)杉浦軍に引き込まれるかも、という話があって、そうなれば私と優希ちゃんが戦うのが面白い。ファンも盛り上がると思う。

4月末に卒業してから初めての出演。「卒業で忙しくで行けなかった。こんな大事な大会に参加できるのはめちゃくちゃうれしい」と声を弾ませた。会場に行くことで、アイドル時代のファンも見に来てくれる。「ライブもプロレスも生で見るのが1番。プロレスを好きになるきっかけになってくれたら」。プロレスが人生の一部になっている。6日、リングサイドから盛り上げ、全15試合を目に焼き付ける。【松熊洋介】

◆サイバーファイトフェスティバル 6日にさいたまスーパーアリーナで行われるノア、DDT、東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスの4団体合同興行。各団体のタイトル戦を含む計15試合を開催。

◆松井珠理奈(まつい・じゅりな)1997年(平9)3月8日、愛知県生まれ。08年、SKE48の1期生として劇場デビュー。同年10月、AKB48のシングル「大声ダイヤモンド」でセンターに抜てき。選抜回数はSKEで26回(うちセンター21回)、AKBで42回(同5回)。12~15年はAKB48チームKを兼任。選抜総選挙は第1回(09年)から出場し、18年には1位を獲得。21年4月卒業。17年テレビ朝日系ドラマ「豆腐プロレス」に出演し、プロレスに興味を持つ。趣味はダンス、料理、お菓子作り。163センチ。血液型B。