辻陽太(27)が付き人を務める棚橋弘至(44)に挑戦したが、惜しくも敗れた。

棚橋に「どうした」と挑発されながらも立ち上がり、ヘッドシザーズで何度も応戦した。中盤には膝を集中攻撃。3年間そばで見てきた棚橋の弱点もしっかり突いた。その後も豪快なジャイアントスイングや、スピアーなど習得した技を次々とぶつけた。最後はテキサスクローバーホールドでギブアップとなったが、あと1歩のところまで追い詰めた。敗戦後は、リング上で悔しさを見せた。それでも「俺が今、このリングに立っているのは棚橋さんのおかげ。棚橋さんがいなければ、今の俺はない」と感謝の思いを口にした。

今シリーズ、辻と上村は連日、主力選手とのシングルマッチが組まれている。学生時代、棚橋と出会って声をかけられたことが忘れられず、17年に23歳で会社員を辞め、新日本に入門した。1年の練習生期間を経て、18年4月にデビュー。同期の上村とともに成長を続けてきたが、若手レスラー「ヤングライオン」の肩書のまま、3年が経った。なかなか「卒業」とならないが、棚橋は「コロナ禍で仕方のない部分もある。タメが長いほどデッカくて美しい花を咲かすと思うから、腐らずに1歩1歩進んでほしい」とエールを送った。「棚橋さん、あなたを超えたときに、俺は本物のプロレスラーになるんだ」。今後を占うシングルマッチ。15日はタイチ、16日にはオカダに挑戦する。棚橋に教わったことを生かし、勝利を狙う。【松熊洋介】